JRA武豊「史上2人目」ダービー当日の偉業達成なるか!? 「僕は帰ってきました」払拭したいキズナ“好敵手”に纏うイメージ
29日、東京競馬場で開催される日本ダービー(G1)で、デビュー戦から手綱を執り続けるドウデュースと前人未到の6勝目を狙う武豊騎手。
前回優勝したのは2013年。パートナーのキズナと最後方近くからレースを進めると、ゴール前でエピファネイアを交わして見事に1着。勝利インタビューでは「僕は帰ってきました」の名台詞も飛び出した。
そんな武豊騎手が、ダービー当日の最終12Rに行われる目黒記念(G2)で騎乗を予定しているのが、そのキズナで差したエピファネイアの産駒であるアリストテレス(牡5歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
レジェンドと同馬はこれまで2度コンビを組んでおり、昨年末の有馬記念(G1)では6着とまずまず健闘。今季は3月の日経賞(G2)で始動する予定だったが、外傷で出走を見送ったため、今回は約5ヶ月ぶりの実戦となる。
最終追い切りは栗東坂路で併せ馬を消化。跨った武豊騎手は『スポニチ』の取材に「休み明けを感じさせる走りだったかな」とやや歯切れの悪いコメントだったものの、「調教と競馬が直結しないタイプ」とも付け足した。
そんなアリストテレスだが、3歳時の菊花賞(G1)では無敗の三冠馬コントレイルにクビ差まで迫った実力馬でもある。『netkeiba.com』の予想オッズでは1番人気となっている。
ちなみに、目黒記念が日本ダービー当日に施行されるようになった2006年以降(2011年は除く)、両レースの連勝を達成したジョッキーは17年のC.ルメール騎手ただ1人しかいない(レイデオロ→フェイムゲーム)。
武豊騎手はダービーのドウデュースも最有力候補であることから、連勝も十分に狙えるだろう。史上2人目の偉業達成にも期待したいところである。
「僕は帰ってきました」払拭したいキズナ“好敵手”に纏うイメージ
一方で、気になるのは本馬の父であるエピファネイアの産駒に「早枯れ説」が囁かれ始めているところか。
初年度産駒から、いきなり無敗の牝馬三冠を達成するデアリングタクトが登場するなど、種牡馬として華々しいデビューを飾ったエピファネイア。2世代目のエフフォーリアも、昨年度のJRA年度代表馬に輝いた。
だが、実は古馬になってからの重賞タイトルは、本馬アリストテレスが勝った昨年1月のAJCC(G2)わずか1つのみ。先月の大阪杯(G1)ではエフフォーリアがまさかの惨敗したことはまだ記憶に新しい。
今年に入ってからも、5歳世代は先週21日の高尾特別(2勝クラス)をフェルミスフィアが勝つまで、実に70連敗以上を喫していた。年齢を重ねるごとに成績が尻窄みになるのでは、早枯れ説が流れてしまうのも仕方のないところか。
「古馬になってからの産駒の成績はいまひとつ芳しくないようですが、エピファネイア自身は4歳秋にジャパンC(G1)を制覇しているだけに、決して成長力がないわけでもないと思われます。
今回の目黒記念でアリストテレスが好結果を残すことができれば、ある程度は産駒の早熟イメージを覆せるかもしれませんね」(競馬誌ライター)
武豊騎手にしても、今年の古馬中長距離路線ではアリストテレス以外にこれといったお手馬が特に見当たらない。そのため、エピファネイア産駒に纏いつつある早熟のイメージは払拭しておきたいところかもしれない。
現役時代は4度対決して、2勝2敗の五分だったキズナとエピファネイア。レジェンドが、かつてのライバルの産駒に再評価をもたらせるかにも注目したい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。