JRA武豊「覚えておいて損のない名前」の大物候補が完敗……グローリーヴェイズ弟の「6月マイル戦」デビューにも疑問の声
噂の大物が、まさかの黒星スタートだ。
4日、東京競馬場で行われた2歳新馬戦(芝1600m)は、C.ルメール騎手の1番人気ノッキングポイントが優勝。後続に3馬身差をつけて東の一番星に輝いた。
管理する木村哲也調教師は「いいフットワークをする。この後はいったん放牧に出します」とコメント。秋にはもう一回り成長した姿が見られるだろう。
一方で、武豊騎手が騎乗した注目のエゾダイモン(牡2歳、栗東・武幸四郎厩舎)は、2番人気に推されたものの、勝ち馬から5馬身半の後れを取る4着に敗れた。
同馬は昨年のセレクトセール1歳セッションにおいて、『ウマ娘』でもおなじみの藤田晋オーナーが1億8150万円(税込)で落札した期待の1頭。G1・2勝馬グローリーヴェイズの半弟にあたるハーツクライ産駒だ。
武豊「覚えておいて損のない名前」の大物候補が完敗
生産したレイクヴィラファームの関係者や、育成牧場であるノーザンファーム空港の担当者は、SNSや取材などで本馬の素質を大絶賛。武豊騎手も自身の公式サイトの日記に「覚えておいて損のない名前」と綴っていたほどの大物である。
『netkeiba.com』や『JRA-VAN』で行われているPOG(ペーパーオーナーゲーム)でも、4日時点で最多の指名者数を獲得していたことから、POGファンにとっても注目の船出となった。
エゾダイモンは13頭立ての2番枠からまずまずのスタートを切ると、道中は3番手のインコースを追走。折り合い面で苦労するような部分も特に見られず、そのまま最後の直線に入る。
残り400m付近で武豊騎手の左ステッキが入ったが、あまり目立った脚は見られず。失速こそしていないものの最後まで伸びを欠き、流れ込むような形でゴールに入った。
レース後、武豊騎手は「軽い走りでいいフットワークだけど、まだ力がない。もう少し時間がほしい」と話したが、「これから走ってくると思う」とも付け足しており、特に悲観はしていないようだ。
だが、SNSやネットの掲示板などには「そもそもなぜ6月のマイル戦でデビューした」「まだ馬が全然できてない」「距離が短いのではないか」など、一部で疑問の声も上がっていた。
ハーツクライ産駒は今年ドウデュースが日本ダービー(G1)を勝ったものの、本質的には3歳秋以降に本格化する馬が多い。代表産駒のジャスタウェイやシュヴァルグラン、リスグラシューなどは古馬になってからG1を制した。
また、本馬の兄グローリーヴェイズは、芝3200mの天皇賞・春(G1)で2着。4歳秋に挑んだ2400mの香港ヴァーズでG1初優勝を飾った、遅咲きのステイヤーである。
血統背景的には、6月初旬に行われる東京・芝1600mの新馬戦を好走する姿は、やや想像しづらいかもしれない。実際に、武豊騎手もレース後「時間がほしい」と語っており、また過去の日記には「距離が延びてもよさそう」とも綴っていた。
「エゾダイモンは調教の動きがよかったことで早期デビューを決めたようですが、残念な結果となってしまいましたね。
新馬戦開幕週に行われる東京の芝1600mは近年、グランアレグリアやサリオスなどを輩出している超出世番組としても知られていますので、陣営的には験を担ぎたかったのかもしれません」(競馬誌ライター)
今回は結果が出なかったエゾダイモンだが、晩成型の長距離血統にもかかわらず早期のマイル戦で4着確保は、むしろ能力の表れであるといえるかもしれない。今後も長い目で見守ってみたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。