JRA武豊の“強奪”もやむなし!? サークルオブライフに続く不戦敗…M.デムーロに「Youは何しに函館へ」の厳しい声も
12日の函館スプリントS(G3)でブービー15着に敗れたプルパレイ(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が、25日の青函S(OP)に向かうことが分かった。
前走から中1週の続戦で、同じ函館芝1200mが舞台となる。3月のファルコンS(G3)に勝利した後はNHKマイルC(G1)から連続15着と不甲斐ない競馬が続いているが、オープン級なら古馬相手でも負けられない一戦となりそうだ。
意外だったのは、これまで全9戦でプルパレイの手綱を取ってきたデムーロ騎手の降板だろう。急遽の続戦となったため、デムーロ騎手に先約があった可能性もあるが、前走の印象が悪すぎたのも否めない。
プルパレイにとって初の1200m戦となった函館SSを改めて振り返ってみたい。
M.デムーロに「Youは何しに函館へ」の厳しい声も
フルゲート16頭立ての最内枠からの発走で、古馬相手にテンのスピードについて行けるかにも注目が集まった。ゲートが開くとタイミングが合わず立ち遅れたプルパレイ。デムーロ騎手が手綱を押して道中は6番手集団まで挽回したが、直線では前が開かず。最後はまともに追うこともできなかった。
「52kgの軽量も手伝って、5番人気に支持されたプルパレイですが、案の定スタートで後手を踏んでしまいました。今年に入ってから先入れの奇数馬番の時は毎回立ち遅れていましたからね……。鞍上のデムーロ騎手も先月のオークス(G1)でやらかしているように、最近は大きな舞台での出遅れが目立っています。
それでも直線は脚を余しており、前が開いていれば上位に食い込む余地はあったでしょう。皮肉だったのは背後にいたタイセイアベニールが3着に追い込んだことです。プルパレイが外に出した一瞬の間隙を縫って、イン突きを成功させました。
デムーロ騎手にとって慣れない小回り函館の短い直線も仇になったかもしれません。1日限りの函館参戦には、SNS上で『Youは何しに函館へ?』というコメントもあったとか……」(競馬誌ライター)
そんなデムーロ騎手から結果的にプルパレイを“強奪”する形になったのが、今年ダービー6勝ジョッキーとなった武豊騎手だ。2人の函館経験を考えれば、この乗り替わりもやむを得なかったのかもしれない。
武騎手は昨夏も北海道に滞在して大活躍。この夏も北海道を中心に騎乗する方針を示している。一方のデムーロ騎手は、これまで年に1日程度しか函館で騎乗したことがなく、函館スプリントSでは経験の浅さが露呈した。
プルパレイの乗り替わりが一時的なものかどうかはわからないが、少なくとも武騎手には大きなチャンスとなりそうだ。
プルパレイを所有するGリビエール・レーシングは馬主歴10年足らずと浅いが、20頭に満たない所有馬の中からプルパレイ以外にもエタリオウやジェネラーレウーノ、アサヒといった重賞クラスの馬が出ている。
最も起用数が多いのはデムーロ騎手で、僅差で吉田豊騎手や三浦皇成騎手が続く。武騎手が起用されたのは過去に1度だけ。もしここで結果を出せば、今後Gリビエール・レーシングからの依頼が激増する可能性もあるだろう。
武騎手のプルパレイ“強奪”は成功に終わるのか、それとも未遂に終わるのか。宝塚記念(G1)前日の函館メインは注目の一戦となりそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。