JRAマーメイドS(G3)絶好調の女性騎手がお手馬の重賞デビューで「まさか」の乗り替わり!? 世界的名伯楽が愛弟子に下した「半人前」の辛口ジャッジ……

古川奈穂騎手

 19日、阪神競馬場ではマーメイドS(G3)が行われる。牝馬限定のハンデ戦、近年では軽ハンデの馬が良績を残していることを考えても、幅広い馬にチャンスがあるレースといえる。今年は牝馬限定重賞ではおなじみの面々はもちろんだが、格上挑戦で一気にステップアップを狙う新進気鋭の乙女たちも数多くエントリーしている。

 ステイブルアスク(牝4歳、栗東・矢作芳人厩舎)もその1頭だ。実はステイブルアスクは新進気鋭の古川奈穂騎手のお手馬とも呼べる1頭、直近8戦ではすべて古川奈騎手が騎乗し、1勝クラス、2勝クラスを順調に突破してきた。

 近2走は減量規定が適用されない特別戦・3勝クラスのレースであったが、それぞれ3着、5着に好走。今回の格上挑戦での重賞出走にあたっては軽ハンデが見込まれることもあり、古川奈騎手の重賞初騎乗への期待が高まっていた。

藤岡康太騎手

 しかし、今回ステイブルアスクの手綱を握るのは藤岡康太騎手。古川奈騎手は決して悪くはない戦績を残していたにも関わらず乗り替わりの憂き目に……管理する矢作調教師は愛弟子に対して「重賞はまだ早い」と言わんばかりの判断を下した。

 非情ともとれる今回の古川奈騎手の降板劇、だが近走のレース内容を振り返るとその意図が伺える。

 女性騎手は男性騎手と比べれば、馬群の中で勝負することが苦手と評価されることがある。ステイブルアスクアスクの近5戦は、いずれも道中は最後方に控えて最後の直線での末脚にかけるレース内容。これを見る限りでは、女性騎手に付き纏うイメージが顕在化したといえる。

 ステイブルアスクは前走こそ芝のレースであったが、本来はダートを主戦にしてきた馬であり、格上の芝馬を相手に直線の末脚にかける競馬では流石に分が悪い。まして今回の舞台は直線の短い阪神内回りコースである。藤岡康騎手へのスイッチによって、古川奈騎手とは違った形でのレース運びが期待されているのかもしれない。

 しかし古川奈騎手にしてみれば、自分が勝たせてきた馬の重賞挑戦で、その手綱を任せてもらえなかったことは悔しいはずだ。今月は2週連続で勝利を挙げるなど好調を維持する古川奈騎手だが、今回の件は肩を落としたに違いない。

 2年目で同期の永島まなみ騎手や、破竹の勢いで勝利を重ねる新人の今村聖奈騎手を含め、”新人3人娘”は未だに誰一人重賞騎乗を成し遂げていない。古川奈騎手にとってはライバルたちに一歩抜きんでるチャンスであったが、師匠から思わぬ形で梯子を外されてしまった。

 マーメイドSでの念願の重賞初騎乗は幻となってしまった古川奈騎手。これを発奮材料として飛躍を遂げることはできるだろうか、古川奈騎手の今後の活躍に注目したい。

(文=エビせんべい佐藤)

<著者プロフィール>

 98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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