JRA「どう見ても格が違う。武豊さまに任せました」西山茂行オーナーの“いじり”は愛と配慮あってこそ!? あのベテラン騎手の発奮に期待!
「勝浦対武豊はどう見ても格が違う。武豊さまに任せました」
今週の木曜夕方、自身のTwitterにそう記したのは「ニシノ・セイウン」の冠名で知られる西山茂行オーナーだ。
「勝浦」というのは、43歳のベテラン勝浦正樹騎手のこと。先週までにJRA通算947勝(重賞17勝)を挙げているが、同4355勝(349勝)の武騎手と比べれば、実績の差は歴然。格が違うのは誰しもが認めるところだろう。
西山オーナーが、この2人の名前を出したのは土曜函館6R・2歳新馬(ダート1000m)に2頭出しを敢行するからだ。武騎手はレーヴミストラル産駒のニシノシャイニング(牡2歳、美浦・中野栄治厩舎)に、勝浦騎手はリーチザクラウン産駒のニシノシークレット(牡2歳、美浦・村田一誠厩舎)に騎乗を予定している。
さて、冒頭のツイートだが、あまり詳しくないファンが見れば、“ハラスメント”とも取られかねない発言かもしれない。しかし、2人の関係を知る者なら“愛”あってこその“いじり”というのはすぐに分かるだろう。
「西山オーナーは自身のブログにも『武豊か?勝浦か?』と記しており、2頭にどちらの騎手を乗せるか選択肢があったと思われます。Twitterの文言からは武騎手騎乗のニシノシャイニングへの期待の方が大きいことがうかがえますが、額面通りに受け取っていいのかどうか……。
これまでニシノデイジーを筆頭に勝浦騎手を辛抱強く起用してきた西山オーナーだけあって、本心では『勝浦騎手に勝たせてあげたい』と思っていても不思議ではありません。特にニシノシークレットは村田調教師の管理馬ですからね。その辺りも(武騎手と勝浦騎手の)使い分けの決め手になったのかもしれませんね」(競馬誌ライター)
実は勝浦騎手と村田師は競馬学校時代の同期。ともに美浦所属のジョッキーとして切磋琢磨してきた仲間でありライバルだった。勝浦騎手が現役を続ける一方、村田師は2年前にムチを置き、昨年12月に厩舎を開業。これまでに4勝を挙げている。
「同期だけあって村田師は勝浦騎手を積極的に乗せています。これまで騎手別では最多となる17回起用していますが、全て4着以下と成績は伴っていません。西山オーナーはこの辺も把握したうえで、『自分の馬でタッグ初勝利を』という親心のような配慮があるのかもしれません」(同)
さて、西山オーナーが2頭を送り込む函館ダート1000mは、ハナを切って行ききってしまえば勝算が出てくる舞台。実は勝浦騎手はこのコースで通算22勝を挙げており、武騎手の同7勝を大きく上回る。もちろん騎乗回数も違うが、コース経験値という点でも勝浦騎手への期待は大きいのではないだろうか。
当然、勝浦騎手も西山オーナーのブログやTwitterを見ているだろう。西山オーナーの“メッセージ”を発奮材料にすることはできるか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。