JRA川田将雅でも武豊でもない、復活の立役者はあの男!? 昨年「12位」→今年「断トツ1位」大記録失った名門厩舎が驚異の大逆襲!?
先月には春のグランプリ・宝塚記念(G1)も終わり、JRAの上半期が終了。7月に入り本格的な夏競馬が幕を開けている。
上半期のリーディングを振り返ると、騎手部門では川田将雅騎手が77勝を挙げ2位以下を大きく引き離しトップを独走。悲願となる初の全国リーディング獲得へ向け、昨年の同時期(79勝)と遜色ないペースで勝ち星を量産している。
大記録失った名門厩舎が驚異の大逆襲!?
その一方、調教師部門でも川田騎手の勢いに負けず劣らず断トツのトップを走っているのが関西の名門・池江泰寿厩舎である。
2004年に開業した池江厩舎は、過去に全国リーディングを3度も獲得している言わずと知れたトップステーブル。これまでドリームジャーニー、オルフェーヴル、サトノダイヤモンドなど数々の名馬を輩出し、2007年から2020年までの14年に渡り常に全国リーディングトップ10に名を連ねた。
ところが最終的に12位に終わった昨年は長年ランクインを守っていたトップ10からまさかの陥落。現役調教師の中では最長となっていた2006年から続く15年連続重賞勝利という大記録もついに途絶えた。近年は管理馬の中にG1級の馬も少なく、存在感も薄れていた。
だが、今年に入ってからは状況が一変。1月から7勝を挙げてスタートダッシュに成功すると、6月終了時点までにトップとなる33勝を挙げた。すでに昨年の年間36勝に迫る驚異的なスピードで勝ち星を積み重ね、現在2位の矢作芳人厩舎(24勝)にも大きな差をつけている。
また、昨年は全く勝てなかった重賞でもオーシャンS(G3)をジャンダルム、マイラーズC(G2)をソウルラッシュ、目黒記念(G2)をボッケリーニ、鳴尾記念(G3)をヴェルトライゼンデとこちらもコンスタントに勝利を挙げている。
復活の立役者はあの男!?
では何故、昨年絶不調だった名門厩舎が今年は息を吹き返したように快進撃を続けているのか。その背景で大きな支えのひとつとなっていると考えられるのが、松山弘平騎手の存在である。
松山騎手は、今年ここまで池江厩舎の管理馬で10戦7勝と抜群の勝負強さを発揮。これは昨年同厩舎の勝ち頭だった岩田望来騎手(6勝)を、上半期だけですでに超えている計算になる。
以前からコンビでの騎乗がなかったわけではないが、昨年は年間を通して騎乗したのは12戦のみ。そう考えると、今年は3月の落馬負傷により1ヵ月強の離脱期間があった割には起用回数が多い印象だ。
近年は川田騎手、武豊騎手、浜中俊騎手などを主戦として起用するケースが多いものの、昨年はコロナ禍の世界的状況も軟化して度々海外遠征に出ていた川田騎手の騎乗回数が少なかったことも池江厩舎の勝利数減少に繋がった可能性も低くない。
そんななかで、今年はその代わりを担うくらいの活躍ぶりを見せている松山騎手の存在は嬉しい限りだろう。同騎手にとっても、2017年の皐月賞(G1)でG1初制覇を遂げたアルアインがまさに池江厩舎の管理馬だった縁もある。
名門厩舎復活のリーディング獲得へ、鍵を握っているのはもしかしたらこの男なのかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?