JRA福永祐一でも岩田望来でもダメ…単勝1.8倍「期待の良血馬」5戦連続2着の屈辱!?「最後の切り札」はデアリングタクトも屈したあの奇策か
これほどまでに足踏みが続く良血馬の姿を、一体誰が想像できただろうか……。
10日、小倉競馬場で行われた4Rの3歳未勝利は、藤懸貴志騎手の7番人気ヤマニンループが鮮やかな差し切り勝ち。デビュー4戦目で嬉しい初勝利を飾った。
その一方で、単勝1.8倍の断然人気に支持されたチェルノボーグ(牡3、栗東・藤原英昭厩舎)はまたも2着に敗れた。
16頭立ての芝1800mで行われたレース。好スタートを決めたチェルノボーグは、道中で外目の5番手を追走する。
向正面で後方にいたツヴァイシュテルネとフラワリングが、早めに押し上げていったことで一気にペースがあがるなか、4コーナーでは後方各馬が続々と外から押し寄せ最後の直線に入る。
馬群の中にいたチェルノボーグだったが、内に進路が開くと鞍上の岩田望来騎手が猛然とラストスパートを開始。ゴールまで内から懸命に追い込んできたものの、大外から驚異の末脚を発揮した勝ち馬には及ばなかった。
同馬はNHKマイルC(G1)2着、重賞2勝のギベオンを兄に持つ良血。デビューした兄姉4頭全てが勝ち上がっているエリート家系でもある。デビュー前に稽古をつけた福永祐一騎手も「レベルが高い。初戦から好勝負ができる能力を秘めている」(『スポーツニッポン』より引用)と絶賛した逸材だ。
しかし、その期待とは裏腹に、これでデビューから5戦連続の2着。通算4度目となる単勝1倍台を背負うも、またしても初勝利はお預けとなった。
「直線で各馬が散らばるなか、内から馬込を上手く捌いてきたのは実力がある証拠でしょう。ただ、勝ち馬の決め手が予想以上に鋭かった。ここまで2着が続くとは……運の無さも感じます」(競馬誌ライター)
新馬からスタートや道中の操縦性では抜群のセンスを感じさせるものの、最後の詰めの甘さが課題とされているチェルノボーグ。上のクラスに行っても相手なりにやれそうなだけに勝ち上がりは急務と言えるが、ここまで惜敗が続くと初勝利へ向け何かキッカケが欲しいところだろう。
思い返せば、早くから重賞で活躍していた兄ギベオンは3歳時に中日新聞杯(G3)を制して以降、長らく不振に陥った。そんな2年以上も続いた大スランプ脱出の復活劇となったのが、3冠牝馬デアリングタクトを相手に大金星を挙げた昨年の金鯱賞(G2)だった。
単勝227.3倍とぶっちぎりのシンガリ人気ながら、初騎乗となった西村淳也騎手がこれまでにない逃げの手に出ると、最後に猛然と追い込んできたデアリングタクトをクビ差退けたことはファンの記憶にもまだ新しいはずだ。
チェルノボーグ自身もスタートは上手いため、思い切った逃げの手に出るのもありかもしれない。実際、ネット上の掲示板でも「逃げてみるべき」などの声も一部見受けられ、ファンの間でも初勝利への模索が続いている。
現3歳世代の未勝利戦終了の9月まで残りわずか。まずは目の前の1勝の為、陣営の工夫が求められる。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?