【クイーンS(G3)展望】武豊JRA重賞350勝へ、ウォーターナビレラ始動!
31日、札幌競馬場ではクイーンS(G3)が行われる。注目は今年の桜花賞(G1)で2着した3歳のウォーターナビレラが参戦してきたことだろう。
3歳世代牝馬の中心的存在として、春のクラシック戦線を賑わせたウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)。振り返ってみれば、競走馬デビューを果たしたのは1年前の札幌だった。
6番人気で迎えた昨年8月の2歳新馬(札幌芝1500m)を逃げ切って勝利。続くサフラン賞(1勝クラス)、ファンタジーS(G3)も先行力を生かして、無傷の3連勝を飾った。その後、阪神JF(G1)で初黒星を喫したが、差のない3着に好走して世代牝馬では上位の力量を示している。
トライアル仕様で臨んだ3歳初戦のチューリップ賞(G2)こそ5着に敗れたが、桜花賞ではハナ差の2着とあと一歩。オークス(G1)は距離の壁もあったか13着に惨敗したが、1800mなら初の古馬相手でも勝機は十分あるだろう。
心強いのはクイーンSにおける3歳馬の成績だ。古馬との混合戦となった2000年以降は、「5-3-4-31」とまずまずといったところ。ただし、2番人気以内に支持された有力馬に限れば「4-1-0-1」と安定しており、この条件を満たす可能性が高いウォーターナビレラは“買い”の1頭といえるだろう。
今回の鞍上もファンタジーSから手綱を取っている武豊騎手が務める。21日に掲載された同騎手のオフィシャルサイトの日記には「あと1勝に迫っているJRA重賞350勝は、来週のクイーンSでなんとかしたいです」と綴られており、節目の勝利を弟の管理馬で、という意欲を見せている。古馬の壁を破って秋の大一番、秋華賞(G1)へと向かいたい。
ウォーターナビレラにとって最大の脅威となるのが、昨年の覇者テルツェット(牝5歳、美浦・和田正一郎厩舎)だろう。
3番人気に支持された昨年は道中じっくりと構えて後方を追走。4角でも最後方の位置取りだったが、短い函館の直線をものともせず、ゴール前の激戦を制した。
その後はエリザベス女王杯(G1)に直行し、4番人気に支持されたが11着。今年の始動戦となった中山牝馬S(G3)は5着、さらにヴィクトリアマイル(G1)では13着と安定感を欠いている。
ヴィクトリアマイルからのローテーションは昨年と同じだが、鞍上は昨年Vに導いたC.ルメール騎手の不在もあって、池添謙一騎手と初めてのタッグを予定。「代打の神様」と呼ばれるだけに怖い存在なのは間違いないだろう。連覇を果たせば、12-13年のアイムユアーズ以来となる。
昨年、テルツェットと接戦を演じ、2着に敗れたのはマジックキャッスル(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)だった。
1年前はテルツェットより1kg重い56kgを背負って、クビ差なら互角以上だったといえるだろう。その後は秋競馬での飛躍を期待されたが、府中牝馬S(G2)で15着に大敗すると、目標に掲げていたエリザベス女王杯を見送っていた。
間隔を空けて愛知杯(G3)で復帰したが、ここでも9着、この春は阪神牝馬S(G2)5着、ヴィクトリアマイル17着と苦戦が続いている。
今年は昨年よりもさらに1kg重い酷量を背負うことになるが、北の大地で復活を遂げることはできるか。
ルビーカサブランカ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、重賞初挑戦となった1月の愛知杯を52kgの軽ハンデを生かして制覇。その後は牝馬限定重賞で人気を集めているものの、3戦連続で人気を裏切る結果に終わっている。
洋芝では6戦して勝利こそないが、「0-2-3-1」と複勝率は83.3%と安定。横山和生騎手との新コンビで重賞2勝目を狙う。
メイショウミモザ(牝5歳、栗東・池添兼雄厩舎)は、2走前の阪神牝馬Sを9番人気で勝利。ヴィクトリアマイルにも挑戦したが、さすがに敷居が高く、最下位18着に敗れた。
この馬も洋芝では「3-1-2-2」と好成績を残しているが、距離克服が課題。5勝中4勝を1200m戦で挙げているように、本質はスプリンター寄りの短距離馬だ。前走からさらに1ハロン延びる1800mは不安の方が大きい。
前走の巴賞(OP)で2年8か月ぶりとなる勝利を飾ったホウオウピースフル(牝5歳、美浦・大竹正博厩舎)。デビュー戦を札幌で勝つなど、洋芝では2戦2勝である。得意舞台で一発を狙う。
この他には、前走ヴィクトリアマイルを最低18番人気で4着に逃げ粘ったローザノワール(牝6歳、栗東・西園正都厩舎)、母シーザリオのファーストフォリオ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)、祖母に女傑エアグルーヴを持つゴルトベルク(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)といった良血馬も出走を予定している。
札幌記念(G2)や秋のエリザベス女王杯を見据えた夏の女王決定戦を制するのは果たしてどの馬か。発走は31日、15時35分を予定している。