【クイーンS(G3)予想】武豊重賞350勝はまたもお預け⁉
今回は秋を見据えた牝馬が激突する夏の牝馬重賞、クイーンS(G3)を予想していく。
ちなみに筆者は冬の3歳牝馬重賞「クイーンC」とよく混同する。施行時期や施行条件が違うとは言え、性格の異なる重賞に「クイーン」を冠するのはいかがなものかといつも思う次第だ。
それはさておき、さっそく過去10年、馬券に絡んだ30頭の前走データを見ていこう。
ヴィクトリアマイル 12頭
マーメイドS 6頭
オークス、五稜郭S(3勝クラス) 各2頭
NHKマイルC、中山牝馬S、福島牝馬S、海外遠征 各1頭
オープン特別 2頭
条件特別(3勝クラス) 1頭
条件特別(2勝クラス) 1頭
となっている。意外といっては何だがヴィクトリアマイル(G1)からの転戦馬が大半。賞金の上積みを狙う馬もいるだろうが、ここを使わないと次の牝馬限定重賞が10月の府中牝馬S(G2)までないので、間隔が開きすぎることを考慮して使う陣営も多いのだろう。条件戦からの挑戦は勝ちがないので、軸に据えるなら前走重賞組だろう。
続いて人気順の成績を見ていく。
1番人気 4-3-2-1
2番人気 2-0-1-7
3番人気 1-0-1-8
4~6番人気 0-5-2-23
7~9番人気 2-1-3-23
10番人気以下 1-1-1-31
となっており、1番人気の成績が抜けている。馬券に絡まなかったのは17年のアドマイヤリードだが、前走ヴィクトリアマイルを勝っていたものの、ここでは展開のアヤで馬券圏内まで来なかったようだ。1番人気は断然だが、そこに絡む馬が人気薄であることが多いので特に4~9番人気あたりはチェックが必要だろう。
これを踏まえて「◎」は1番テルツェットとする。
前走はヴィクトリアマイル。スタートで出遅れて最後方からの競馬になった。直線で上がり32.9秒の鬼脚で追い込んできたものの、位置取りが後ろ過ぎて13着に惨敗している。
昨年のこのレースの覇者で連覇を狙っての出走。昨年は連勝を重ねたところからG1でつまずき、ここで巻き返して勝利という流れだったが、今年はこのレースを勝って以降いいところなしでこのレースに臨んでいる。
もっとも昨年のこのレースの後はわずか3走しかしておらず、そのうち2戦はG1だったので、G1では荷が重すぎるとも考えられる。残りの1走は中山牝馬S(G3)だが、よりによってトップハンデを背負った上に、スタートで接触もあり十全に能力を発揮していないと考えられる。それで5着と掲示板は確保したので、上々と言えよう。
今年は昨年より斤量を1kgもらっており、前走比でも1kg増となっているのがどう出るかという不安点はある。だが、例年このレースは差し馬天国で前残りしたケースはわずか2例だけ。脚質は合っている上に、このレースで最多勝を誇る池添謙一騎手が鞍上となれば、不利を上回る好材料が揃ったと見える。
続く「○」は3番ホウオウピースフルを挙げたい。
前走は巴賞(OP)。終始中団で競馬をすすめ、直線で前にいた馬を追い上げてゴール前ハナ差だけ交わして勝利している。
血統的に言えば有馬記念(G1)を勝ったブラストワンピースの半妹という良血馬。クラシック戦線でもフローラS(G2)で2着に入ってギリギリ間に合わすことができた。だが、出走したオークス(G1)で8着に敗れた後は、8戦全敗。掲示板に2度載った程度でオークス前とは別馬になったかのようだった。
その長いトンネルを抜け出したのが前走。勝ち星は実に2年8カ月ぶりというものだった。そういう意味ではやっと不調から抜け出すきっかけを掴んだとも言える。札幌は今回と同距離を新馬戦で勝っており、前走の函館戦と併せて洋芝への適性はあると考えていいだろう。こちらも斤量を1kgもらっているのが懸念されるところであるが、調子を上げてきているであろう今なら克服できるのではないか。
「▲」は穴馬だが8番ラヴユーライヴを推したい。
前走はマーメイドS(G3)。3番手につける積極的な競馬をしたが、直線で力尽き13着に大敗している。
この馬も血統面で言えば良血馬でラヴズオンリーユー、リアルスティールという名馬2頭の全妹。デビューが3歳4月と遅かったこともあるが、間に合いそうだった秋華賞(G1)もトライアルの紫苑S(G3)で大敗し3歳牝馬G1には出走できなかった。
その後は地道に自己条件を戦い、2勝クラスの脱出に5戦、3勝クラスの脱出に3戦を要してやっとオープン入りしたものの、牝馬限定重賞を2走して2走とも2ケタ着順と現状見るべきところはほとんどない。さらに言えば別定戦ということで前走より2kgもらってしまう不利もある。
が、敢えて推すのは札幌で2戦2勝という好相性を見せており、今回と同距離もこなしている点だ。斤量は不利な要素ではあるが、55kg自体はこなしてきた斤量なのでレースレベル自体は大きく上がるが、こなせない斤量ではないはず。
そこそこ切れる脚がある一方で、展開を問わずどこからでも競馬できる自在性もある。人気がないのは近走を見れば当然だが、だからこそ敢えて押さえてみたい1頭だ。
「△」は2番ローザノワールと穴馬13番フィオリキアリの2頭を挙げる。
ローザノワールは前走ヴィクトリアマイルで逃げを打ち、直線でもよく粘ったが前で競馬していた実績馬に交わされ4着に終わった。
この馬は前で競馬してナンボ。馬券に絡んだレースもすべて4コーナー2番手以内だった。このレースは前残りしにくいと何度も力説しているが、今回のメンバーでどうしてもハナへ行きたい馬がいないため、すんなりハナに立って自分のペースで逃げられればあるいは、という保険の意味も含め、押さえたい。
フィオリキアリの前走は五稜郭S(3勝クラス)で、鮮やかな追い込みを決めて勝利している。
5歳で23戦のキャリアと使われているが、とにかく勝ち味に遅いのが原因。勝ち鞍の4勝も新馬戦と条件戦の勝ち上がりだけということで、前走でようやくオープン入りできたというところ。牝馬3冠に皆勤できる程度に実力はあるが、ここまで上手く噛み合ってこなかった感がある。
実力で言えばメンバー中でも下の上くらいのものだが、前走からのローテーションは好走実績が残っている。こういう時のローテーションデータは意外に活きてくるもので、過去このレースでも人気薄が突っ込んで来ている。ここは実績よりもローテーションを優先して押さえてみたい。
人気の中心になる10番ウォーターナビレラと同じく人気しそうな5番マジックキャッスルは切り。
マジックキャッスルは昨年の2着馬であるが、この2着の後が凡走続きで2走前に掲示板に載っただけ。正直なところ不調に陥っていることが考えられるが、それよりも斤量が昨年の56kgからさらに1kgもらって57kgというのが引っかかる。牝馬は牡馬から2kg減というのに当てはめれば牡馬換算で実に59kgの斤量を背負っていることになる。56kgまでは好走しているが、さすがに57kgでは厳しいだろう。
ウォーターナビレラは前走オークスで、出遅れて後方待機策を採ったが直線で馬群に飲まれ13着に大敗している。
2歳重賞ではあるがファンタジーS(G3)を勝っているほか、阪神JF(G1)で3着、桜花賞(G1)で2着と世代トップクラスの実力の持ち主ではある。斤量も前走から3kg減と恵まれた条件で走れることも人気になっている理由であろう。
重賞350勝がかかる武豊騎手だが、このレースは過去4回騎乗。うち1勝2着1回と悪くない成績を残している。その1勝も今回と同じ3歳牝馬でマークしたものだ。ただ、その馬はオークスで6着と長距離でもそれなりに走った実績あってのこと。実際、その馬は秋華賞へ直行し、アパパネの3着と実績を残してみせた。
その点、ウォーターナビレラの場合、オークスは出遅れたとは言え見せ場なく大敗している上、オークス以外はマイル以下しか経験しておらず、いわばここは試金石。陣営もここ次第で次以降のローテーションが変わると言っている以上、必ず勝つ必要のないレース。
好走しそうな条件がある一方で不安点も多く、試走と考えるとここは人気になりすぎではなかろうか。押さえるには馬券妙味がなさすぎるのでバッサリやりたい。
ということで、今回は1番、2番、3番、8番、13番の5頭で3連複BOX10点勝負とする。
ウォーターナビレラが1本被りする可能性が高く、逆に飛んでくれれば人気の組み合わせでも意外な好配当にありつける可能性がある。今回はそこに賭けてみたい。
(文=トーラス神田)
<著者プロフィール>
オグリ引退の有馬記念をリアルタイムで見ている30年来の競馬好き。ウマ娘キャラがドンピシャの世代。競馬にロマンを求め、良血馬にとことん目がない。おかげで過去散々な目に遭っている。そのくせ馬券は完全データ派。座右の銘は「トリガミでも勝ちは勝ち」。