福永祐一「大幅割引」のホウオウルーレットに疑問符

 今週末の日曜新潟メインはレパードS(G3)が開催される。

 同じ3歳馬のダート重賞でも、後のG1馬が複数誕生しているユニコーンS(G3)に比べると、開催時期がジャパンダートダービー(G1)に近いレパードSはメンバーが手薄になりやすい。

 過去10年の出走馬を振り返っても、後にダートのG1を制したのは2012年ホッコータルマエ、16年の2着ケイティブレイブくらいである。

 ただ、今年のメンバーは例年に比べて好メンバーが揃った。『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズによると、タイセイドレフォン、ハピ、ホウオウルーレットの3頭が一桁台で上位人気を形成。4番人気以下の馬は大きく差が開いた格好だ。

 下馬評的にも3強対決と見られているだけに、この3頭の中から勝ち馬が出る可能性も高そうである。

 その一方、人気の抜けている3頭にも弱点がない訳ではない。

 川田将雅騎手のタイセイドレフォンは、前走の弥冨特別(2勝クラス)を8馬身差で楽勝したものの、2走前の鳳雛S(L)では、出遅れて後方からの競馬となった藤岡佑介騎手のハピに並ぶ間もなく交わされて2着。そのハピも前走のジャパンダートダービーで2番人気に支持されたが、先行勢を捕まえられずに馬券圏外の4着に沈んだ。

ホウオウルーレットに疑問符

 直接対決した2頭に対し、ホウオウルーレットもまた不安を抱えている。デビューから2戦をどちらも2着に1秒以上の大差をつける圧勝で挑んだ伏竜S(OP)を5着に敗れ、それまでの逃げ先行から後方待機にモデルチェンジ。青竜S(OP)こそ2着に惜敗したが、前走のいわき特別(2勝クラス)で5馬身差の快勝を演じた。

 血統的にもダートG1で現役最強クラスの実力を誇るオメガパフュームの半弟にあたる良血も魅力。今回、福永祐一騎手を新たな鞍上として起用したことからも、陣営の勝負度合いが伝わってくる。

 ところが、鞍上強化に思えるこの乗り替わりは、ホウオウルーレット陣営にとって、プラスとはならない可能性もあることに触れておきたい。

福永祐一騎手 撮影:Ruriko.I

 中京競馬場を得意としている福永騎手が「中京の鬼」といわれるほどのコース巧者であると同時に、実は新潟競馬場でも勝ち星を量産している。データ的な側面でも2019年の年始から今年の7月31日までの成績を振り返ると、最も勝率の高かった小倉が23.2%で新潟は2番目の21.4%で中京は3番手の19.9%だった。

 一見、特に問題がないように思えるこの数字なのだが、これは芝ダートを合わせた数字であり、ダートに限定すると思わぬ事実が表面化する。先述した順にダート限定で確認すると、小倉の17.0%と中京の18.8%は芝と遜色ないものの、新潟だけは4.8%まで急落してしまうのだ。

 これには本人も自覚があるようで、新潟の芝については「偏った傾向になりやすいので、それさえ早めに掴んでしまえばいいからね。1番簡単な競馬場じゃないかな」とコメントしたこともあるように、芝に限定した27.4%の勝率は全競馬場でトップの成績。それだけにダートの「4.8%」は深刻といえる。

 昨年7月31日の1勝クラスをバーデンヴァイラーで勝利するまで27連敗を喫していた際には「新潟のダートでは2年ぶりに勝ったわ!まぁこの馬は誰が乗っても勝ってたやろな」と振り返ったように、馬の力で勝たせてもらったようなもの。

 その後も1勝を挙げたはいいが、以降は人気馬に騎乗しながら現在10連敗中。上位人気に推されていたとしても過信は禁物。そしてホウオウルーレットに限らず、タイセイドレフォンやハピについても絶対的な存在とは言い難い。

 下馬評では3強対決濃厚のレパードSだが、3頭以外にも手強そうなライバルはいる。場合によっては思わぬ波乱の結末があっても、おかしくないかもしれない。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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