超大物エスコーラ「福永祐一」との新コンビで再始動!

 飛躍の秋へ、噂の超大物が待望の再始動を迎える。

 昨年7月、初夏の小倉競馬場に衝撃が走った。この時期の3歳未勝利というと9月の未勝利戦終了が迫った、いわゆる“崖っぷち”の馬たちによる争いなのだが、そこで日本レコードが飛び出したのだ。言うまでもないが日本レコードとは、古馬も含めた日本競馬最速のタイムである。

 芝1800mのレースに登場したエスコーラ(牡4歳、栗東・中内田充正厩舎)は、向正面に入って川田将雅騎手が外に持ち出すと、ペースが遅いと言わんばかりに進出を開始。一気に先頭に躍り出ると、小雨が降る中で1000m通過58.7秒という締まったペースに持ち込んだ。

 この時期の未勝利馬にとっては厳しいペースに後続馬がついて行けずに脱落すると、最後の直線はエスコーラの独壇場。2着馬を1.8秒もぶっちぎった大差の圧勝は、グランデッツァが2014年の都大路S(OP)で記録したレコードを7年ぶりに更新する衝撃的な結末だった。

 その後、1勝クラスを単勝1.1倍の人気に応えて勝利すると、2勝クラスの国立特別もあっさりとクリア。底が見えない大物感ある走りだけでなく、姉にエリザベス女王杯(G1)や有馬記念(G1)で2着したサラキア、兄にも朝日杯フューチュリティS(G1)を勝ったサリオスがいるなど、日本でも屈指の良血馬だ。

 そんな背景もあって全国の競馬ファンから熱い視線を集めたが、陣営は大事を取ってここまで長期の休養を促していた。

 あれから約10カ月。噂の超大物エスコーラが待望の始動戦を迎える。今月14日に迎える復帰戦は、自身がレコードホルダーとなる小倉・芝1800mの不知火S(3勝クラス)だ。

「いよいよ……といった感じになりましたね。思いの他、休養が長引いたこともあって、ネット上でも“行方不明疑惑”が浮上するなど、心配していたファンも少なくなかったようです(笑)。

夏の復帰戦に向けて、帰厩してからじっくりと乗り込まれてきました。約10か月ぶりのレースになりますが、追い切りでも年上の重賞馬リアアメリアに食い下がっていましたし、4連勝でオープン入りを期待してもいいのではないでしょうか。楽しみな馬が帰ってきましたね」(競馬記者)

「福永祐一」との新コンビで再始動!

福永祐一騎手

 復帰戦の大きなポイントは、デビュー戦から手綱を取り続けた主戦の川田騎手ではなく、福永祐一騎手に乗り替わりになることだろう。押しも押されもせぬトップジョッキーのリレーだけにレースの心配は皆無だが、焦点は今後の鞍上問題だ。

「すでに追い切りでもエスコーラとコンタクトを取っている福永騎手ですが、今回は主戦の川田騎手がレース当日に新潟で開催される関屋記念(G3)のダノンザキッドに騎乗する関係での乗り替わりになります。エスコーラは川田騎手と蜜月関係にある中内田厩舎の所属馬ですし、おそらく代打的な意味合いでしょう」(同)

「態勢が整うまで、じっくりと時間をかけて調教してきました」と話すのは、管理する中内田調教師だ。素質溢れる大物だけに大事に使われている印象だが、姉のサラキアは5歳で本格化し、一時はスランプだった兄のサリオスも5歳を迎えた今春の安田記念(G1)で3着するなど一皮むけた印象である。

 姉兄が示す奥手の血統だけに、今後ますます楽しみな逸材。来週末14日の復帰戦は、異例の注目を集めることになりそうだ。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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