「最下位」菜七子は正念場、女性騎手のガチンコバトル
先週末の日曜新潟メイン・アイビスサマーダッシュ(G3)は、CBC賞(G3)で重賞初騎乗初勝利を決めた今村聖奈騎手と、女性ジョッキーのパイオニア・藤田菜七子騎手の直接対決が実現。JRA史上初となる重賞での女性騎手対決に大きな注目が集まった。
結果は、11番人気オヌシナニモノとのコンビで15着の今村騎手に対し、13番人気スティクスで5着に好走した藤田騎手に軍配。近年、落馬による負傷で戦列を離れるアクシデントなどもあって伸び悩んでいた藤田騎手だが、快進撃を続けている後輩女性騎手に先輩の意地を見せた格好だ。
とはいえ、今年の騎手リーディングでは今村騎手だけでなく、永島まなみ騎手や古川奈穂騎手にも後れを取っているのも確か。
23勝で33位の今村騎手は、地方競馬の勝ち鞍も加算してG1初騎乗の条件となる31勝までマジック6に迫る勢い。8勝で62位の古川奈騎手や7勝で68位の永島騎手より少ない4勝で93位の藤田騎手の現状(7月31日現在)は、現役4人の女性騎手で最下位の成績。これには本人も思うところがあるだろう。
そんな藤田騎手にとって、今週末の新潟開催は存在感をアピールするのに、またとない機会となるかもしれない。
JRAの暑熱対策で今年の夏季競馬期間中(7月30日から8月7日)は、札幌および新潟の2場開催。乗り鞍の確保に苦労する一方で、女性騎手同士の直接対決も実現しやすくなるため、巻き返しを期す藤田騎手としても力の入るところだ。
今週末の騎乗予定を確認してみると、古川奈騎手こそ札幌だが、その他の3人は新潟で騎乗が決まっている。重賞での直接対決はないものの、越後の地で女性騎手によるガチンコバトルが勃発する。
各騎手の乗鞍の内訳は、今村騎手が土曜6鞍と日曜6鞍の計12鞍。永島騎手が土曜2鞍と日曜4鞍の計6鞍、藤田騎手は土曜2鞍と日曜3鞍の計5鞍となっている。その中で女性騎手2人が騎乗する土曜2R・4Rと日曜7Rで今村VS永島、土曜3R・7Rで今村VS藤田の対決が見られるのだ。
女性騎手のガチンコバトル
注目したいのは、女性騎手3人が一堂に会する日曜8R・12Rだ。
「永島騎手は騎乗馬の質で見劣ることは否めないですが、上位人気の支持が濃厚な今村騎手と藤田騎手は勝ち負けを期待できるパートナーに恵まれました。どちらのレースもそれぞれの騎乗馬は実力伯仲と見られているだけに、ガチンコバトルが繰り広げられそうな雰囲気です。
G1初騎乗へのカウントダウンを目論む今村騎手にとっても、藤田騎手の存在は意識せざるを得ないでしょう。藤田騎手も手綱を取る2頭は、自身の騎乗で前走を勝利した馬。当然ながら連勝を狙っているはずです」(競馬記者)
今年デビューしたルーキーとはとても思えない手腕を持つ今村騎手、ホームといっていい新潟で後輩の後塵を拝したくない藤田騎手、人気薄でも一発を期待できる永島騎手。女性騎手が揃った百花繚乱の新潟は例年以上に“アツイ夏”を演出してくれそうだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。