安田記念「1番人気」が登場、関屋記念にG1級メンバー

イルーシヴパンサー 撮影:Ruriko.I

関屋記念にG1級メンバー

 14日に新潟競馬場の芝1600mで開催される関屋記念(G3)。サマーマイルシリーズの第3戦となる本競走だが、今年は例年以上の豪華メンバーになりそうだ。

 昨年は、春のNHKマイルC(G1)で2着したソングラインが参戦したことで話題を呼んだレース。残念ながら3着に敗れてしまったが、古馬になって迎えた今春の安田記念(G1)を制覇し、新マイル王として秋を迎える。

 その安田記念で1番人気を背負った大器イルーシヴパンサー(牡4歳、美浦・久保田貴士厩舎)が、ここ関屋記念から始動する。

 昨年の皐月賞(G1)で10着に敗れた後、一息入れた1勝クラスから怒涛の4連勝。2月の東京新聞杯(G3)も勝った際は、かつてのマイル王「モーリス2世」などと呼ばれ、マイル界の超新星として大きな注目を集めた。

 4連勝の勢いに乗って迎えた今春の安田記念では、単勝4.5倍ながらG1の大舞台で1番人気に。レースでは後方から持ち前の末脚を爆発させ、上がり3ハロン最速の32.6秒で追い上げたものの8着止まり。超一線級のマイラーたちと戦う上で課題が残る一戦となった。

 仕切り直しの今回は、秋に向けてやや不安のある収得賞金の上積みを狙う重要な一戦。4連勝はすべて東京で挙げたもので、同じく直線の長い左回りの新潟は大歓迎だ。自慢の末脚を爆発させ、再び連勝街道に突入したい。

ダノンザキッド 撮影:Ruriko.I

 本来であれば、G3ならイルーシヴパンサーが大本命馬に推されても仕方ないはず。だが、一筋縄でいかなそうなのが、今年の関屋記念だ。迎え撃つG1馬ダノンザキッド(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)は、ここで貫録を示したいに違いない。

 デビュー3連勝で2020年のホープフルS(G1)を勝った際は「来年のクラシックの主役」とさえいわれたダノンザキッド。しかし、皐月賞で15着に大敗し、その目論見が大きく狂うと、秋からはマイル路線を歩むことになった。

 今年はここまで2連敗中だが、昨年のマイルCS(G1)3着はG3なら大威張りできる実績。前走の安田記念では6着に敗れているが、勝ったソングラインとは0.2秒差。イルーシヴパンサーにも先着している以上、メンバーの落ちるここで簡単に負けるわけにはいかないだろう。目標は先だが主戦の川田将雅騎手が騎乗する以上、勝ちに来るはずだ。

 この2頭に割って入りたいのが、サマーマイル王を狙うウインカーネリアン(牡5歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)だ。

 単勝360倍だった一昨年の皐月賞で4着に入って全国の競馬ファンに冷や汗をかかせたウインカーネリアンだが、その後は徐々に距離を短縮してマイル路線へ矛先を向けている。

 大きな転機となったのが前々走の谷川岳S(L)で、先月の中京記念(G3)を逃げ切ったベレヌスを捕らえて快勝。その勢いのままサマーマイルシリーズ第1戦の米子S(L)を連勝し、一躍マイル界にその名を轟かせている。

 通算成績こそ17戦6勝だが、全6勝を挙げる主戦の三浦皇成騎手が騎乗すれば【6.1.0.1】と相性は抜群。唯一の着外も4着で、番手から抜け出す競馬が完全に板についている印象だ。勝てばサマーマイルシリーズ制覇へ大きく近づくだけに侮れない存在だろう。

スカイグルーヴ

 また、来週からは“夏休み”を取っていたC.ルメール騎手が復帰。関屋記念には、良血馬のスカイグルーヴ(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)で参戦する。

 母方にダイナカール、エアグルーヴ、アドマイヤグルーヴが並ぶ名牝の一族。父に日本最高級種牡馬エピファネイア、母アドマイヤセプターが種牡馬として大活躍中のドゥラメンテの全姉という超良血馬だ。

 1番人気を背負った一昨年のフローラS(G2)で敗れてクラシックの夢は断たれたが、1400m以下に適性を求めて再浮上。今年は京都牝馬S(G3)、京王杯スプリングC(G2)で連続2着と力のあるところを見せている。

 京都牝馬Sでは今春の高松宮記念(G1)2着馬ロータスランドと、そして京王杯スプリングCでも重賞5勝のメイケイエールと、それぞれ0.1秒差ならチャンス十分。課題は200m延びる距離に尽きるだろう。

 ここが休み明けの始動戦になるがピースワンパラディ(牡6歳、美浦・大竹正博厩舎)、ゴールデンシロップ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)の上がり馬2頭の勢いも侮れない。

 前者ピースワンパラディは、昨年1月の京都金杯(G3)2着以来となる復帰戦。ここまで13戦5勝ながら、馬券圏外はわずかに2度。マイル戦は4勝2着3回と連対率100%を誇っている。長期休養明けは気になるところだが、本来の能力が発揮できるなら再びマイル路線の惑星になれるだけの実力馬だ。

 後者ゴールデンシロップは昨年11月以来のレースだが、自己条件を3連勝中と勢いに乗る。特に前走の秋色S(3勝クラス)ではリッケンバッカー、ランドオブリバティといった重賞実績のある実力馬を上がり最速の末脚で粉砕。3連勝はすべてマイル戦で、ここが試金石となりそうだ。

 他にも左回りのマイル戦で期待できる重賞2勝馬ザダルや、武豊騎手とコンビを組むヴィルシーナの娘ディヴィーナ、京王杯スプリングCの4着馬ワールドバローズなど、普通のG3なら上位人気になっておかしくない実力馬がわきを固める。

 異例の好メンバーが集った今年の関屋記念。サマーマイルシリーズはもちろん、秋のマイルG1戦線にも、小さくはない影響を与えるレースになりそうだ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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