オールドファン歓喜「あの冠名・勝負服」28年ぶりV
オールドファンにはたまらない冠名・勝負服が復活の白星だ。
6日、新潟3Rに行われた3歳未勝利(芝1600m)は、ここ2戦とも2着だったセキテイオー(牡3歳、美浦・田中剛厩舎)が1番人気に応えて優勝。鞍上・M.デムーロ騎手の手綱さばきも冴えて、惜敗続きにピリオドを打った。
フルゲート18頭の一戦。セキテイオーは好スタートを切って道中は好位2番手を追走。1000m通過60秒1という前有利の緩いペースも味方となり、抜群の手応えで3~4コーナーを回って最後の直線に入る。
残り400m手前で持ったまま逃げ馬を交わして先頭へ。抜け出すのがやや早いようにも見えたが、鞍上に追い出されると伸び脚もしっかりと披露。ゴール前では後続が追い上げてきたが、危なげなく1馬身差をつけて押し切った。
「いまの未勝利では力が上だと思っていましたが、レースぶりもほぼ盤石で、着差以上の完勝に見えました。相手なりに走れそうなので上のクラスでも期待できるのではないでしょうか。
なお、セキテイオーは皐月賞などG1・3勝を挙げたロゴタイプの産駒で、管理するのは父も手掛けた田中剛師。鞍上も父の主戦を務めたデムーロ騎手だったことから、まさにチーム・ロゴタイプでの勝利となりました」(競馬誌ライター)
レース後、デムーロ騎手は「先頭に立ってソラを使ったが、状態が良かったので最後まで頑張ってくれた」と話し、管理する田中剛師は「ひと目見たときからロゴタイプにそっくりだと思った。勝てて本当に嬉しい」と、感無量のコメントを残している。
「セキテイ」28年ぶりの勝利
また、白・赤袖・青二本輪の勝負服で「セキテイ」の冠名を有する馬がJRAで勝ち星を挙げるのは、1994年6月のセキテイリバー以来、およそ28年ぶりのことでもあった。
初代セキテイのオーナーである新元観光の所有馬は、1980-90年代にかけて活躍。なかでも重賞2勝を挙げ、93年の天皇賞・秋(G1)ではヤマニンゼファーと壮絶な叩き合いの末2着に敗れたセキテイリュウオーは、今でも名バイプレイヤーとして名を馳せている。
そんなセキテイ軍団も90年代後半に入ると成績が徐々に低迷。新元観光の所有馬は2002年5月のリュウセイを最後に出走が途絶えていた。
しかし、昨年6月の2歳新馬に杉山元洋オーナーの所有するセキテイリュウビが出走したことで、この冠名と勝負服が約19年ぶりに復活。そして今回のセキテイオーで実に四半世紀以上ぶりの白星を挙げる運びとなった。
「セキテイオーを所有する杉山元洋オーナーは、先代のお孫さんに当たるみたいですね。
現在、中央の持ち馬は2頭のみのようですが、もう1頭のセキテイホノオーも前走の未勝利で2着に入っていることから、こちらも近いうちに勝ち上がりが期待できるかもしれません」(同)
そんなセキテイの久々の勝利には、SNSやネット掲示板などにもベテランと思われる競馬ファンから「思わず目頭が熱くなった」「またこの勝負服が応援できて嬉しい」といったコメントが集まっていた。
今年6月には谷水雄三オーナーの「タニノ」軍団が事実上の消滅。「アドマイヤ」や「ダイワ」なども跡取り問題などを理由に幕引きが囁かれるなか、見事にバトンを繋いだ2代目「セキテイ」の今後の活躍に期待したいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。