初登場で重賞ゲット「武豊フィーバー」に新潟が沸いたエイシンガイモンの記憶

武豊騎手

 14日に新潟競馬場で開催される関屋記念(G3)に、ディヴィーナ(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)で武豊騎手が参戦する。

 母にヴィクトリアマイル(G1)を連覇したヴィルシーナがいる良血ディヴィーナ。前走のヴィクトリアマイルは母娘制覇が期待されたものの11着と力及ばずだった。だが、全4勝を中京で挙げている“サウスポー”だけに引き続きチャンスはあるはず。武豊騎手にとっては2017年以来、約5年ぶりとなる新潟参戦と気合の入っている一戦だ。

 そんな武豊騎手だが、前回関屋記念を勝ったのは1996年まで遡る。パートナーはエイシンガイモンだった。

 これまで数々のビッグレースを制し、競馬史の一幕を彩ってきた「エイシン軍団」といえば、大人気競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)に登場するダービー馬エイシンフラッシュや、武豊騎手とのコンビで海外G1を制したエイシンヒカリなど、どちらかと言えば中長距離で活躍しているイメージがあるかもしれない。

 しかし、オールドファンにとっての「エイシン軍団」は、外国産馬全盛の時代だった1990年代の活躍を記憶している人も多いのではないだろうか。特にエイシンワシントンやエイシンバーリンといったスピード型の外国産馬の活躍が目立っており、エイシンガイモンもまたそんな“エイシン”の1頭だった。

 2歳王者を決める朝日杯3歳S(現フューチュリティS、G1)で、後の天皇賞馬バブルガムフェローの2着。3歳春のニュージーランドT(G2)では、後の秋華賞馬ファビラスラフインの2着。夏のローカル重賞・関屋記念に参戦したエイシンガイモンは「大物3歳馬」と呼ばれて差し支えない存在だった。

 また、鞍上の武豊騎手はこの週が新潟初参戦。競馬界を代表する若きスーパースターを一目見ようと、現地にファンが殺到したことは言うまでもないだろう。前走にあえてオープンの菩提樹Sを選んだのも関屋記念から逆算した騎手の進言というから、まさに秋へ向けた必勝態勢の一戦だった。

 その結果、単勝1.8倍に推されたエイシンガイモンは、好位からあっさり抜け出すと後続を寄せ付けずに完勝。蛯名正義騎手に乗り替わった翌年にはレース史上初の連覇を達成しており、大の新潟巧者だったようだ。

 このエイシンガイモンのようなG1級の3歳馬でも53kgで出走できるのは、ある意味反則かもしれない。だが、実は次に3歳馬による関屋記念制覇を達成したのは、22年後のプリモシーン。昨年も、この春に安田記念(G1)を勝ったソングラインが1番人気を背負って敗れている。

 なお、エイシンガイモンとの関屋記念で新潟初参戦初重賞を飾った武豊騎手は、翌年にマイネルブリッジで七夕賞(G3)制覇、アグネスワールドで函館3歳S(現2歳S、G3)勝利と、一気に福島・函館で重賞制覇を決めて史上2人目のJRA全10場重賞制覇を達成している。

 あの関屋記念勝利から、今年で26年。29歳になったエイシンガイモンは現在、高知の土佐黒潮牧場で余生を過ごしている。キャリアの晩年に高知競馬に移籍していたが、その関係もあったとのことだ。

 土佐黒潮牧場の公式TwitterやYouTubeによると、エイシンガイモンは今年3月に喉を詰まらせて一時危険な状態だったそうだ。しかし、スタッフのケアもあって今ではすっかり回復。5月には元気に散歩している姿がYouTubeで公開されている。実績よりもファンの多い馬だっただけに、いつまでも健康で長生きしてほしい。

銀シャリ松岡

天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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