今村聖奈の勝ち鞍を丸裸!データから見えてきた『取扱説明書』
20日、小倉6Rでヤマニンウルス(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が勝利。騎乗した今村聖奈騎手はこれでJRAと地方競馬を合わせて通算31勝となり、G1レースの騎乗資格を満たした。同期で真っ先にG1の挑戦権を得た才女に対する関係者からの評価は高く、早くもその将来を有望視されている。
そんな女性アスリートの星を応援していきたいのは山々だが、競馬はスポーツであると同時にギャンブルでもある。今村騎手の馬券は早くも騎手人気するケースが出てきており、その「買い時」をシビアに見極めたいところだ。
そこで本稿では、今村騎手がJRAのレースで挙げた28勝を分析し、馬券的に彼女をどう取り扱うべきか検討した。
核心に入る前に基本的なデータを確認いただきたい。下記は、今村騎手の28勝を条件ごとに分類したものだ。
【今村騎手のJRA28勝 条件別内訳】
・開催条件
芝→9勝 ダート→19勝
・距離
1000-1200m→9勝
1400-1600m→3勝
1700-2000m→15勝
2100m以上→1勝
・クラス
新馬→2勝 未勝利→15勝 1勝ク→8勝 2勝ク→1勝 OP→1勝 重賞→1勝
・性別
牡馬→13勝 牝馬→15勝
・競馬場
新潟→12勝
小倉→8勝
阪神→5勝
中京→3勝
・単勝人気
1番人気→11勝 2番人気→4勝 3番人気→6勝 4〜6番人気→6勝
7〜9番人気→0勝 10番人気以下→1勝
・4角位置
5番手以内→24勝 6番手以後→4勝
まずは開催条件だが、芝とダートで勝利数に差はあるものの、これは騎乗数が違うためで回収率は大差ない。距離別成績では、何故かマイルを挟むように短距離と中距離に勝ち星が集中している。これは大いに注目いただきたいポイントだ。
クラス別成績では、1勝クラス以下で28勝中25勝を挙げている。2勝クラス以上のレースに限定すると、勝率、連対率、複勝率全てで自身の平均を下回っており、レースレベルが上がると苦戦する傾向になっている。特別戦(重賞含む)には新人騎手に対する減量特典がないからだろう。続く性別ごとの成績では大きな偏りはない。
競馬場別の成績では、新潟競馬場での12勝が群を抜いている。69回騎乗し、自身平均の2倍近い勝率17.4%を誇っている。特に制約を設けずとも、新潟開催で今村騎手が騎乗した全レースの単勝を均等購入すれば、回収率は158%だというのだから驚きだ。残念なのは、今年の新潟開催がもうすぐ終わってしまうこと。読者の皆様にはぜひ来年まで覚えていてもらいたい。
次は単勝人気別の成績だ。当然ではあるが、上位人気を背負った際の成績が目立っている。一方、7番人気以下になると勝ち数はわずか1。複勝率も4.8%と低調だ。減量効果で大穴をあけることに期待したいところだが、かなり分が悪い賭けになる点は注意したい。
最後は4コーナーの位置取り別データだ。ダートのレースは前有利になることも多く、ある程度偏ることは織り込み済みだが、それにしても先行時に挙げた勝ち星が多い。予想の際は、前に行ける馬かどうかを重視すると良いだろう。
まとめとして、単勝ベタ買いで回収率が100%を超える条件をご紹介したい。
【ベタ買いで単勝回収率100%を超える条件】単勝回収率/複勝回収率
1番人気×ダート×1000-1200m 166%/111%(計4勝)
1番人気×ダート×1700-2000m 148%/89%(計7勝)
1番人気×牝馬限定戦 158%/124%(計4勝)
新潟競馬場 158%/87%(計12勝)
基本的には前述の得意な条件を掛け合わせたものになっている。その中でも新潟競馬場と、先行馬騎乗時の数字は単独で単勝回収率100%を超えており、要注目な条件だ。
今回の分析対象は28勝、301鞍と統計的には心許ない数字かもしれない。だが、大まかな傾向が見えてきたことは筆者としても収穫であった。この“取扱説明書”が皆様の懐を温めることができれば幸いである。