キーンランドC(G3)C.ルメールが「死んだふり」から神騎乗!? 充実の秋へ反撃態勢

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 28日、札幌競馬場で行われたキーンランドC(G3)はヴェントヴォーチェ(牡5歳、栗東・牧浦充徳厩舎)が優勝。開業14年目の牧浦調教師は、これがうれしいJRA重賞初勝利となった。

 サヴォワールエメが直前に出走取消となり、15頭立てで行われた一戦。直近2戦の重賞(函館SS=2番人気7着、アイビスSD=1番人気9着)で人気を裏切っていたヴェントヴォーチェは6番人気まで評価を下げていた。

 レースは最内枠から飛び出したヴァトレニがハナを切り、作り出した流れは前半3ハロン34秒5というスローペース。札幌開催も終盤に差し掛かり、明らかな外差し馬場に変貌を遂げる中、道中は後方集団のインを進んだヴェントヴォーチェには厳しい結果が待ち受けていると思われたが……。

C.ルメール騎手が「死んだふり」から神騎乗!?

「終わってみればC.ルメール騎手の神騎乗でしたね。スタート後に隣の馬と接触し、後方からの競馬を強いられたのは想定外だったかもしれません。この日の札幌芝は外伸びでしたが、ルメール騎手はスタート後の向正面で内目を選択。道中は後方2番手集団に位置していました。ただ、かなりスローな流れで馬群は凝縮していたため、先行集団からそれほど離れてはいませんでした。

各馬が外々を回す中、ルメール騎手とヴェントヴォーチェは勝負所でインを突いてポジションを上げていきました。この判断が吉と出た格好です」(競馬記者)

 記者が語ったように、道中は後方2番手のインを追走。ペースと馬場を考えれば、かなり不利と思われる位置取りで、ルメール騎手はまさに「死んだふり」をしていたといえるだろう。ところが直線で馬場が荒れていないギリギリの三分どころにうまく持ち出すと、逃げて最内を突いたヴァトレニと外のウインマーベルとの叩き合いを制した。

 ヴェントヴォーチェとは初めてのタッグで牧浦調教師に重賞初勝利をプレゼントしたルメール騎手。今年は国内での重賞勝利がオークス(G1)だけという厳しい状況が続き、ことごとく人気を裏切ってきた。

 もし例年通りの活躍を見せていれば、ヴェントヴォーチェはもう少し人気になってもおかしくなかっただろう。近2走で期待を裏切っていたヴェントヴォーチェと“大不振”のルメール騎手の組み合わせが6番人気という不当な低評価を作り上げていた感は否めない。

 自らも認めているように、極端に暑い季節と寒い季節は得意ではないルメール騎手。夏競馬も残り1週となり、2週間後からは秋競馬へと移行する。

 この夏は日本のジメジメした暑さを避け母国のフランスで過ごした。再来日直後もなかなか思うような騎乗ができないシーンも目立ったが、キーンランドCで見せた“神騎乗”で潮目は変わるか。

 充実の秋に向けていい形で8月を終えたルメール騎手の今後の反撃に期待したい。

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