崖っぷちから生還も喜んでばかりはいられない!? 4億円ホースに待っている茨の道!?
28日、札幌2Rの3歳未勝利戦は、ダノンマイソウル(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が勝利。今年、ダノックスの馬で12勝を挙げている川田将雅騎手の勝負強い騎乗で、キャリア7戦目にして待望の初勝利を挙げた。
3歳未勝利戦の施行は、夏競馬期間の来週までとなっている。今回で勝ち上がれなければ残る道は連闘か格上挑戦だけという崖っぷちだっただけに、関係者も安堵しているところだろう。
しかし、この馬は1勝すれば良しと喜んでばかりもいられない。
4億円ホースに待っている茨の道!?
何しろダノンマイソウルは2020年のセレクトセール1歳馬セッションで4億円(税抜)にて落札された超高額馬だからだ。それも同年のセレクトセールでは第2位、歴代でも第8位という破格のお値段だった。
1歳上の半姉モンファボリ(牝4歳、栗東・須貝尚介厩舎)がセール前の新馬戦で快勝。前年に急逝したディープインパクトの実質的なラストクロップとなれば、高騰も致し方なかっただろうか。
セレクトセールでの落札直後、ダノックスの岡田ディレクターは「血統背景が良く、姉も早い時期に新馬戦を勝っている。オーナー(野田順弘氏)がどうしても欲しいと言っていた」と語ったように、オーナー肝いりの落札劇だったようだ。
大きな期待を背負ってキャリアをスタートさせたダノンマイソウルであったが、デビューからの4戦は全て馬券圏外に敗退した。しかし、そこから4ヶ月空けてのキャリア5戦目では自己最高位の2着に好走し、徐々に良化の兆しを見せていた中での今回の勝利だった。
「この馬は切れる脚がなく、好位につけてスピードの持続力で勝負したいタイプ。ただ、デビュー直後は行きっぷりが悪く、後方からなだれ込むだけのレースが続きました。休養明け以降はポジションを取れるようになってきており、今回も早めに先頭へ立つ積極的な競馬が勝ちを呼び込みましたね。ディープインパクト産駒ですし、レース振りが変わってきた今なら芝に戻してもやれる可能性はあると思います」(競馬記者)
当馬は520キロ前後の大型馬で、なおかつ切れるタイプでもないとなれば、適性はダートにあるのかもしれない。しかし、ダート路線はG1や重賞の数、賞金で芝路線に劣っており、4億円という購入費の回収を考えれば、再び芝のレースを使うことも選択肢に入るだろう。
この馬より高額で落札された馬の中で、自身の落札額を上回る賞金を獲得した馬は存在しない。それどころか、1億円以上稼いだ馬すら1頭もいないのが実情だ。
崖っぷちから自力で競走生活延長の道を切り開いたダノンマイソウル。厳しいジンクスを前にして、この馬はどこまでいけるだろうか。
この先も険しい道が続きそうだが、オーナーの期待に応える日が来ると信じて応援したい。