「G1級」エリートがローカル小倉で見せた圧逃劇!名伯楽も想定外の荒療治は功を奏すか!?
28日、小倉メインの小倉日経オープン(OP)は、2番人気のレッドベルオーブ(牡4歳、栗東・藤原英昭厩舎)が勝利。2歳時には朝日杯フューチュリティステークス(G1)で一番人気にも支持された期待馬が1年9カ月ぶりの復活星を挙げた。
さらに注目を浴びたのはそのレースぶり。大外枠から好スタートを決めると、頭を上げながらものすごい勢いで先頭へ。向こう正面に入るころには後続を10馬身近く離しており、1000m通過では57.6秒というハイラップを刻んだ。道中は最大で2秒以上後ろを離す大逃げを打つと、ゴールまで先頭を譲ることはなかった。
レッドベルオーブは2歳の時にデイリー杯2歳S(G2)を制した重賞勝ち馬だ。兄レッドベルジュールも同レースを勝っており、弟のレッドベルアームは今年のシンザン記念(G3)で3着に好走している。
彼らは3兄弟揃って西の名門藤原英昭厩舎に預託された、東京ホースレーシングきってのエリート血統なのだ。
前述の通り、重賞を制覇してG1で一番人気に推されるなど、その素質は高く評価されてきたレッドベルオーブであったが、気性面の課題から折り合いに難があり、力を出し切れないレースが続いた。
特に骨折から復帰後の近3戦はいずれも道中で口を割り、折り合いを欠くシーンが見られていた。それでも我慢させて競馬を教えていた中で、まさかの大逃げ策。突然の大胆な競馬にはどのような背景があったのだろうか。
レース後、レッドベルオーブの鞍上を務めた幸英明騎手は「今まで我慢させる競馬でしたが、調教師から『行くなら行っていい』と指示がありました。調教に乗って、折り合いに苦労するイメージがありました。変にけんかせず、とにかく勝ちにいく競馬をしました」次のようにコメントしている。
どうやら逃げの一手はあらかじめ頭にあったようだ。
しかし、馬の気に任せた派手な大逃げとなれば、話は違うようである。
藤原調教師『調教でやってきたことが競馬に繋がらず…』
「レッドベルオーブはクラシック戦線での活躍も期待されたほどの馬です。有り余るパワーをどうレースで発揮させるか、厩舎スタッフも試行錯誤を重ねてきたことでしょう。幸騎手のコメント通り逃げも選択肢にあったのは事実です。
ただ、藤原調教師が、クラブを通して『調教でやってきたことが競馬に繋がらず、ショックを受けている。すごく難しいです』とコメントしていたのは気掛かりです。あれほどの大逃げは想定外でしょうし、修正も容易ではないですから、頭を抱えているかもしれませんね」(競馬記者)
レッドベルオーブの派手な競馬に、SNSやネット掲示板では「今までの教えが無駄になる。先につながらない競馬」といった否定的な見方もあれば、「抑えても力は発揮できない。スピードで押し切るスタイルが合っている」と評価する声も出たように、賛否様々な意見が飛び交った。
藤原調教師は「現状、この型が競馬をしやすいと思うので、この戦法を続けていくことで抜けた状態で走れるようになってくれれば」とも語っており、陣営も想定外の極端な競馬が、吉と出るか凶と出るか見極めきれていない。
とはいえ、パンサラッサやタイトルホルダー、ジャックドールといった強豪は、逃げるスタイルで好走している。彼らと比べるのは時期尚早だが、レッドベルオーブも新境地を開拓できる可能性はある。
今回の荒療治が成功した暁には、新たな個性派逃げ馬が見られるかもしれない。