最強馬バーイードも霞む「36馬身差」の離れ業!距離延びるほど強くなる無敗の怪物が登場、競馬界に戦慄走る

 8月17日の英インターナショナルS(G1)で、2着ミシュリフに6馬身半の大差をつけて圧勝したバーイードの走りに度肝を抜かれたファンも多かっただろう。

 本馬は一貫してマイル(デビュー戦は芝1650m)を主戦場にして9連勝。フランケルの再来と評される実力馬である。インターナショナルSでは、距離が一気に延長となったため、スタミナを懸念する声も出ていたが、終わってみればノーステッキの大楽勝だった。

 むしろ距離を延長した舞台で2着馬との差をさらに広げたことにより、短距離にとどまらず、これで名実ともに欧州最強馬の座を手に入れたともいえる。

 まるで赤子の手を捻るように一蹴されたミシュリフが、前年の優勝馬だったことも強さを際立たせる。ちなみにミシュリフは、昨年のドバイシーマクラシック(G1)でクロノジェネシスやラヴズオンリーユーを破った馬だ。

 この勝利をきっかけにバーイードの陣営は、馬場がいいことを条件としつつも、10月2日に行われる凱旋門賞(仏G1)への挑戦も視野に入れると表明。約1650万円ともいわれる追加登録料が必要となるため、最終的な判断はもう少し先となりそう。もし出走してくれば、タイトルホルダーやドウデュースにとって最強の敵だろう。

最強馬バーイードも霞む「36馬身差」の離れ業!

 その一方、一部ではバーイード以上かもしれないという声も挙がったのが、3日(日本時間4日)にアメリカのデルマー競馬場で行われたパシフィッククラシック(米G1)を制したフライトライン(牡4、米・J.サドラー厩舎)だ。2着に19馬身1/4差をつける圧勝で無敗の5連勝を飾っている。

 同馬の凄さはバーイード同様、距離延長を苦にするどころか、さらに強さを見せつけた点だ。

 しかもマイル戦からの延長だったバーイードに対し、フライトラインはダート1200m戦でのデビューから徐々に距離を延長してのダート2000mへの挑戦。スプリント戦を勝つだけにスピードに加え、G1の過酷な舞台を3戦して11馬身1/2→6馬身→19馬身1/4とライバルを圧倒した。2着馬につけた着差を合わせると「36馬身」なのだから、これはもうタダモノではない。

「実際、パシフィッククラシックのレース映像を見てみても、まったく本気で走っていません。最後の直線を迎えて後続馬の騎手が激しく追う姿とは対照的に、主戦のF.プラ騎手は持ったまま。後ろを振り返る余裕もあったように、ゴール前はまるで単走の馬なり調教みたいでした。

その前に2戦したG1でも再現VTRのような勝ち方をしており、もしも本気で追われていたならさらに着差が開いたでしょう。逃げているように見えても、それはフライトラインのスピードに他馬が追いつけないだけで、底知れない強さを感じました」(競馬誌ライター)

 フライトラインは、3歳4月の遅いデビューとなったが、デビュー戦を13馬身1/4差で圧勝。中間にも脚元にアクシデントがあったものの、9月の2戦目でも12馬身3/4差の独走。近走のG1を3戦しても強さは増すばかり。世界的に戦慄が走ったのも当然だ。

 世界最強ダート馬ともいえるだけに、3歳クラシックに間に合わなかったことは非常に惜しまれる。次走で濃厚とされるブリーダーズCクラシック(米G1)でも、圧倒的1番人気に支持されることはほぼ間違いない。

 ダート競馬の本場アメリカに登場した新怪物の無敗街道は、一体どこまで続くだろうか。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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