メイケイエールがセントウルS(G2)圧巻VもスプリンターズSに懸念材料? 同族ソダシとの決定的な差とは
11日、中京競馬場で行われたセントウルS(G2)は、メイケイエール(牝4歳、栗東・武英智厩舎)が断然の1番人気に応えて優勝。勝ち時計の1分6秒2はコースレコードのおまけ付きだった。
大目標のスプリンターズS(G1)へ向けて、秋の始動戦はほぼ100点満点の内容だった。ファンファーレがなった直後、メイケイエールはゲート入りをやや嫌がる素振りを見せたものの数十秒ほどで無事ゲートイン。他馬のゲート入りを待つ間は落ち着きを取り戻していた。
ゲートが開き、各馬キレイなスタート。メイケイエールも五分のスタートを切ると、鞍上の池添謙一騎手がやや促しながら好位を取りに行った。
シャンデリアムーンとファストフォースの2頭が激しいハナ争いを繰り広げる中、メイケイエールはやや離れた5番手を追走。周囲に他馬がいないストレスフリーな展開も手伝ってか、道中は引っ掛かることもなく、優等生な走りを披露した。
600m通過が32秒5というハイペースの中、池添騎手が早めに外に持ち出すと、直線はまさにメイケイエールの独壇場だった。鞍上がゴーサインを送り、メイケイエールが即座に反応。残り200mを切ったところでファストフォースを交わして先頭に立つと、あとは後続との差が広がる一方だった。
秋の大目標、スプリンターズSへ向けて、これ以上ない結果を残したメイケイエール。レース後、騎乗した池添騎手は「(ゲート入りは)最近は少しだけ嫌がるところが出てきているのですが、まあ良いのではないでしょうか」と苦笑い。それ以外はほぼ完璧なレース内容だったといえるだろう。
そしてメイケイエールにとって、この勝利はJRAの平地重賞6勝目。同じ一族の近親ソダシに並んで現役最多に到達した。
ただし、その内訳には大きな違いも……。
同族ソダシとの決定的な差とは
それはG1でのパフォーマンスだ。ソダシはこれまで阪神JF、桜花賞、ヴィクトリアマイルとG1を3勝しているが、メイケイエールの重賞6勝はすべてG2かG3。G1ではこれまで「0‐0‐0-4」と馬券にすら絡むことができていない。メイケイエールにとってG1とG2の間に高い壁が存在するのだろうか。
「最下位に敗れた昨年の桜花賞はともかく、他の3つのG1は決して悪くない内容でした。序盤にかなりの距離ロスがあった阪神JFは、直線で大外から突き抜けるような手応えで4着。昨年のスプリンターズSも前残り馬場で中団から差し込んでの4着でした。今春の高松宮記念(G1)も完全にイン有利でしたが、8枠から大外を鋭く伸びて差のない5着。どちらかというと運がなかっただけで、決してG1で足りない馬とは思えません。
今回のレース内容から、次走に予定しているスプリンターズSでは大本命に推される可能性が高くなりましたが、むしろ心配はレコード勝ちの反動でしょう。中2週で迎えるだけに、レース後のダメージがどれだけ残っているかがカギとなりそう。ただ、陣営もスプリンターズSを見越しての仕上げだったはずなので、反動は最小限に抑えられるとは思います」(競馬誌ライター)
G1ウイナーのシュネルマイスターとナランフレグ、さらに3歳牝馬のナムラクレアなど、一流スプリンターが待ち構える次走。メイケイエールと池添騎手は今度こそG1の壁を突き破ることはできるだろうか。