ディープインパクト「最後の6頭」1番手が快勝デビューも課題山積…C.ルメール「子供っぽい」3億円ホースの今後は

 近代競馬の結晶とも言われ、種牡馬としても数えきれないほどの功績を残してきたディープインパクト。長きにわたり競馬界の中心に君臨してきたその産駒たちだが、現2歳世代の6頭が最後の世代となる。

 その数少ないラストクロップの中でも最大の注目株として、セレクトセールで3億3千万円(税込み)で取引されたオープンファイア(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が11日に中京競馬場で初陣を迎えた。

 6頭のラストクロップの中で、最も早いデビューとなったオープンファイアは当然ながら大きな期待と注目を集めており、単勝1.3倍の圧倒的な支持を集めた。レースではスタートで立ち遅れ後方に位置取る形となったが、最後の1ハロンでディープインパクト産駒の真骨頂とも言うべき抜群の瞬発力を発揮して見事に差し切り勝利を収めた。

 まさに父・ディープインパクトを彷彿とさせる末脚でファンを魅了したオープンファイア。今回の結果を受けて、早くも来春のクラシックの有力候補として期待を寄せるファンの声も多く挙がっている。

快勝デビューも課題山積…

 だが、今回の新馬戦の走りだけでオープンファイアの実力を評価するのは時期尚早かもしれない。確かに勝ちっぷりは圧巻であったが、そのレース内容は今後に向けて不安が残るものであった。

 まず気になるのは今回のレースの勝ち時計である。

 オープンファイアの2000mの走破タイムは2.05.8であったが、これは前日に同条件で行われた2歳未勝利戦の2.01.4と比べて4秒以上も遅かった。

 今回は少頭数の新馬戦ということで、前半1000mが66.6秒のスローペースで流れたことが全体時計の遅さに影響した面はあるだろう。しかし前日の未勝利戦は稍重のタフな馬場で行われたことに対して、当日は好天で馬場が回復していたにも関わらず格段に遅いタイムでの決着であった点は見逃せない。

 また、これだけの緩い流れにも関わらずオープンファイアは後方から控える形でレースを進めることとなってしまった。追走に苦労した面もあったのか4角を過ぎても中々エンジンがかからず、末脚を伸ばした最後の100mまでは決して中身の濃いレース内容とは言えないものであった。

C.ルメール騎手

 手綱を握ったC.ルメール騎手もレース後に「子どもっぽいですね。ずっと遊んでいました。スタートも、道中も、直線も。(真剣に走ったのは最後の)150mだけ」と語っており、課題のあるレース内容だったと認めている。

 順調ならば、次走は重賞や暮れのG1の舞台を目指すことになるはずだが、強豪が集う重賞レースでは当然ながら道中の流れも厳しいものとなる。

 仮に同距離で行われるホープフルS(G1)に出走するなら、オープンファイアが4秒から5秒程時計を詰めることが必要であり、今回の新馬戦の内容が大舞台に直結するとは言い難い。

 こうした速い流れでの対応に加えて、露呈したゲート不安や反応の鈍さといった面をクリアしていかなければ、世代の一線級を相手に勝負をすることは難しいだろう。オープンファイアがクラシックロードを歩むにあたって、課題は山積みといえる。

 まだまだ粗削りな面が目立つオープンファイアだが、裏を返せば伸び代は存分にあるとも捉えることができる。レースの最後に見せた瞬発力はインパクト十分であり、高い素質を秘めている馬であることは疑う余地が無い。

 今回の新馬戦は勝利こそしたものの、今後に向けては期待と不安が入り混じることとなったオープンファイア。課題を克服し長所を磨き上げ、偉大な父のように競馬界に大きな衝撃を与える走りを見せてくれる日を心待ちにしたい。

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