父は凱旋門賞「2年連続逃亡」の過去、怪物フランケル「最高傑作」の初年度産駒がデビュー!

 馬主のゴドルフィンが期待するアイルランド生まれの2歳馬が17日、中山5Rの2歳新馬(芝1800m)で戸崎圭太騎手を背にデビュー予定だ。

 その馬の名前はリマスタリング(牡2歳、美浦・伊藤圭三厩舎)。夏場に美浦へ入厩後は坂路を中心にじっくり乗り込まれ、基礎体力の強化が図られてきた。

 7日の1週前追い切りは、美浦南Wで6ハロン86秒4をマーク。全体時計は平凡だったが、ラスト1ハロン11秒6の切れ味を披露し、競走馬としての第一歩を踏み出そうとしている。

 調教で非凡さをうかがわせているリマスタリングの注目ポイントは血統面でも。父は現役時代に11戦8勝の成績を残したクラックスマン。2017-18年の英チャンピオンS(G1)を2連覇するなど、2年間の現役生活で手にしたG1タイトルは4つを数えた大物だ。

 そしてクラックスマンといえば、怪物と呼ばれたあの馬の産駒でもある。

「クラックスマンの父は史上最強馬とも評されたフランケルです。2年連続(11-12年)で欧州年度代表馬に選出され、通算14戦14勝という成績で引退しました。12年の英チャンピオンSでG1・9連勝を達成し、生涯無敗のまま種牡馬入りしました。

フランケル産駒はこれまで100頭以上が日本に輸入されています。モズアスコット、ソウルスターリング、グレナディアガーズの3頭がG1を制覇し、日本の軽い芝への適性は証明済み。そんなフランケルの最高傑作と呼ばれたのがクラックスマンでした。リマスタリングはその初年度産駒で、日本で走るのはこの馬が初めてとなります」(競馬誌ライター)

凱旋門賞「2年連続逃亡」の過去…

 G1を通算4勝しているクラックスマンだが、現役時代は日本での注目度はそれほど高くなかった。キャリア11戦で日本馬との対戦は一度もなく、何より欧州最高峰の凱旋門賞(G1)に出走しなかったことも大きい。

「3歳時に前哨戦のニエル賞(G2)を快勝したクラックスマンでしたが、レース後に陣営は凱旋門賞への出走を否定。コースが狭いシャンティイ競馬場で開催されることを理由に回避しています。

翌年は古馬中距離戦線で主軸を担ったクラックスマン。陣営はパリロンシャン競馬場に戻った凱旋門賞に出走を予定していました。ところが、良馬場で行われるようなら出走させないとの意向を示すと、数日前になって馬場を理由に再び大一番を回避しています」(同)

 2年連続で凱旋門賞から“逃亡”したクラックスマンだったが、直後のチャンピオンSに出走すると、2着に6馬身差をつける圧勝劇で有終の美を飾り引退。翌年からダーレーグループ傘下の牧場で種牡馬入りしている。

 国内で血統登録されたクラックスマンの初年度産駒はリマスタリングを含めて2頭だけ。フランケルの後継種牡馬としても期待が高い父にJRA初出走で初勝利を贈れるか。ゴドルフィンの秘密兵器が中京でそのベールを脱ぐ。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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