「帰ってきた」岩田望来が秋華賞(G1)ダークホースで緊急参戦!? 若きホープの「絶妙逃げ」に賞賛の嵐

岩田望来騎手

「1頭1頭大事に乗って、それが大舞台につながっていけばと思います」

 21日、復帰に向け『日刊スポーツ』の取材にそう答えていたのは岩田望来騎手だ。自身は先月13日の小倉競馬場で、馬場入場時に騎乗馬が転倒し負傷。左足の甲を2か所、足裏を1か所骨折して休養を余儀なくされていたが、24日から復帰となった。

 一時はリーディング2位につけるほどの充実ぶりだったが、24日現在では7位までランクダウン。年明けから好調だったものの、5月の騎乗停止処分に続く離脱に、焦りやもどかしい思いがあったかもしれない。

 それでも約1ヵ月に渡る休養期間を「後ろを向いていても仕方ないですからね。いい休みになった」と前向きに捉え、普段とは違う視点で競馬を見ていたという岩田望騎手。帰ってきた若きホープの実戦を、楽しみに待っていたファンも多くいたはずだ。

 迎えた復帰初戦は、中京10Rの夕月特別(2勝クラス)となった。6番人気タガノフィナーレ(牝3、栗東・中村直也厩舎)の手綱を取った岩田望騎手は、大方の予想を覆す勝負強さを発揮する。

「絶妙逃げ」に賞賛の嵐

 11頭立て芝2000mのレース。「先生から『逃げられたら逃げて』との指示があった」と明かしたように、スタートから果敢に押してハナへ。後続をやや離しながら作戦通りの逃げの手に打って出ると、スローペースに落とし込み最後の直線に入る。

 そこから鞍上が激しいアクションとともにGOサインを出すと、タガノフィナーレは最後の力を振り絞ってもうひと伸び。すぐ後ろからカンティプールに詰め寄られる苦しい追い比べが続いたが、ゴールまで踏ん張り通してアタマ差しのぎきってみせた。

 復帰初日の乗鞍は、このレースのみだった岩田望騎手だが、まさに一鞍入魂を最高の形で結果に結びつけた。レース後には、ネットの掲示板やSNS等でも「お見事」「おかえり」「待っていたぞ」など、復帰後初Vを賞賛する声で溢れ返っている。

 また岩田望騎手にとっては、思いも寄らぬ秋華賞(G1)出走のチャンスを手にしたかもしれない。

「タガノフィナーレが勝った夕月特別は、秋華賞と縁がある出世レースでもあります。過去には勝ち馬のスマートレイアー(2着)やソフトフルート(3着)が、滑り込みで秋華賞への出走を叶え本番でも好走しています。仮にタガノフィナーレの参戦が叶った場合は、上位人気こそ見込めませんが、注意する必要はあるかもしれません」(競馬誌ライター)

 今回を含めた計3勝は、8番人気→9番人気→6番人気といずれも低評価での勝利だったタガノフィナーレ。マイペースで逃げた際には、勝ち切るほどの勝負根性を何度も発揮しており、大穴候補として覚えておいても損はなさそうだ。

 現3歳世代の牝馬では、フィリーズレビュー(G2)を勝ったサブライムアンセムとのコンビで桜花賞(G1)に臨むも9着に終わった岩田望騎手。その後、同馬は放牧に出されオークス(G1)をパスし長期休養していることもあって、秋は異なるパートナーとの参戦も考えられた。

 しかし秋華賞トライアルの紫苑S(G3)やローズS(G2)には、上述した自身の怪我により騎乗できなくなり、秋華賞参戦の可能性は限りなく低くなっていたが、ここに来てチャンスが回ってきたと言っても良いだろう。

「復帰初戦で勝てて自信になった。これで満足せず、高みを目指していきたいです」

 レース後、自身の復帰後初騎乗・初勝利をそう振り返った岩田望騎手。もしタガノフィナーレとの秋華賞参戦が叶えば、周囲がアッと驚く激走を見せてくれるかもしれない。

ハイキック熊田

ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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