スプリンターズS(G1)浜中俊とナムラクレアは「何故」敗れたのか。安藤勝己氏「安全に乗った」イン有利の中、あえて外を選んだ騎手心理
「きょうは枠や展開に左右されるレースだった」
今夏はサマージョッキーズシリーズで優勝を果たした浜中俊騎手だったが、ナムラクレア(牝3、栗東・長谷川浩大厩舎)と挑んだ秋G1初戦のスプリンターズS(G1)は、2番人気で5着と不発に終わった。
フルゲート16頭立て芝1200mのレース。道中は中団よりやや前目に位置し、最後の直線では外から追い上げを図った浜中騎手とナムラクレアだったが、鞍上も「今の中山は内が強い」と話した通り、内有利な馬場での差し切りは少々厳しかったかもしれない。
最後まで外から懸命に追ったものの、前を行く各馬との差は中々縮まらず。5着まで追い上げるのが精一杯だった。
この結果に、ネット上の競馬ファンからも掲示板やSNS等を通して「なぜ外に回した?」「今の馬場じゃ(外から差し切るのは)無理だよ」など勝負所での浜中騎手の判断に疑問の声が続々……。
というのも、直線で浜中騎手が外を選んで敗れた一方、着順の上位を占めた馬が軒並み内を突いた馬だったからだ。
「この日の中山競馬場は開催最終週だったにもかかわらず、内枠の先行馬有利という特殊な馬場でした。なので、外差しを選択した浜中騎手に対する批判的な声も多かったのだと思います。
ですが、浜中騎手は前日の中山芝コースで3連勝していましたし、なかには内を突く巧みな騎乗で勝利を挙げたものもありました。レース後のコメントからも、馬場傾向は完全に把握していたはずです」(競馬誌ライター)
イン有利の中、あえて外を選んだ騎手心理
では何故、浜中騎手は馬場状態が有利な内に徹する競馬が出来なかったのか。続けてライターはこうも話している。
「前走の北九州記念(G3)では16番と外枠スタートから、最後の直線ではあえて馬群に突っ込んで行き場を失うシーンがありました。結局、最後は馬込を縫うようにして3着まで追い上げましたが、スムーズなら勝ち負けだったことは明らか。浜中騎手もレース後に『誘導ミス』と振り返っていました」(同)
ライター曰く、内有利を認識していた今回のスプリンターズSで、浜中騎手があえて外を回したのは「前走のような不完全燃焼を避けたかったのではないか」というわけだ。これには元JRA騎手の安藤勝己氏もTwitterで『前走の後やから安全に乗った』と指摘している。
浜中騎手があえて外を選んだのは「それでも勝てる」というナムラクレアへの信頼か。だが、結果は勝ったジャンダルムから0.2秒差の5着。3着ナランフレグとはタイム差がなかっただけに、内から勝負していれば結果は変わったかもしれない。