肘打ちC.スミヨンに続き、仏リーディング騎手も参戦見送り、超大物来日もノーザンファーム「大誤算」の秋!?

C.スミヨン騎手

 スプリンターズS(G1)が終わり、これから本格化していく秋のG1シーズンを前に日本競馬界を牽引するノーザンファームには暗雲が漂っている。

 事の発端は、先月30日にフランス・サンクルー競馬場で行われたレースでの一コマだ。2日の凱旋門賞(G1)でヴァデニを2着に導いたC.スミヨン騎手がレース中にあろうことか他の騎手を肘打ちする暴挙により、被害騎手の落馬を誘発したのだ。

 幸い突き飛ばされた形のR.ライアン騎手は大事には至らなかったが、非常に危険なラフプレーを行ったスミヨン騎手には60日間の騎乗停止処分が下された。

 その結果、この秋、JRAの短期免許で来日を予定していたスミヨン騎手の来日は叶わず。処分が明ける12月13日以降に来日する可能性はあるものの、すでに発表されていた天皇賞・秋(G1)のジオグリフへの騎乗は白紙となった。

ノーザンファーム「大誤算」の秋!?

「過去にも数々の問題行動を起こしているスミヨン騎手ですが、さすがに今回の肘打ちは度が過ぎましたね。下手をしたら被害騎手の命にも関わるような非常に粗暴な行為でした。

タイミングも悪く、凱旋門賞前で日本のファンも注目している時期。騎乗停止処分が明けてもしばらく来日するのは難しいかもしれません。

この一件で大きな痛手を負いそうなのがノーザンファームです。ジオグリフ以外にも有力馬をスミヨン騎手に手配しようとしていたはずでしょうから……」(競馬誌ライター)

 さらにノーザンファームに追い打ちをかけたのが同じフランスのM.バルザローナ騎手の決断だ。昨年にはフランス騎手リーディングにも輝いた一流騎手で、今秋に4度目の来日を予定していたが、取りやめることが分かった。

「どうやらJRAには(滞在)2か月間で申請をしたものの、1か月間しか認められず、『日程が合わなかったので今年は行かない』ことになったとのこと。『去年のリーディングジョッキーなので認められると思った』と本人も言っているように、プライドが邪魔をしたのかもしれません」(同)

 バルザローナ騎手は、モハメド殿下率いるゴドルフィンと優先騎乗契約を結んでいるが、過去3度の来日時はノーザンファーム生産馬にも数多く騎乗する機会があった。

 2014年の福島記念(G3)では吉田勝己氏所有の6番人気ミトラを勝利に導き、同年の朝日杯FS(G1)は人気薄モンドキャンノを2着に持ってきている腕利きでもある。6年ぶりの来日を楽しみにしていた関係者も少なくなかったはずで、こちらも残念なニュースとなった。

 フランス人騎手2人が突如来日しない(できない)ことになったものの、3日にはC.デムーロ騎手の天皇賞・秋の週から年末までの滞在を発表。他にもR.ムーア騎手も参戦を予定している。

「日本での実績も豊富なC.デムーロ騎手とムーア騎手の来日は日本人騎手にとっては試練になりますね。それでも2人分(スミヨン騎手、バルザローナ騎手)の穴が開いたことは事実。日本人騎手にもチャンスが巡ってくることは間違いありません」(同)

 コロナ禍で外国人騎手の来日が激減していた過去2~3年は、横山武史騎手がこれを生かし、一流騎手の仲間入りを果たすなど恩恵を受けた日本人騎手も少なくなかった。

 果たしてどの騎手に「スミヨン・バルザローナ枠」が回ってくるのか。そしてこの絶好機を生かすことはできるのか。ノーザンファームの大誤算をチャンスに変える騎手は現れるだろうか。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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