アリストテレスに運命のイタズラ!? 京都大賞典「天敵不在」の今年はチャンス
10日、阪神競馬場では京都大賞典(G2)が行われる。京都競馬場が改修中とあって昨年に引き続き阪神開催となるが、後のG1戦線へ繋がる重要レースとしての位置づけは変わらない。今年も秋の飛躍を期す実力馬たちが名を連ねた。
中でも注目したいのが、人気の1角とみられているアリストテレス(牡5歳、栗東・音無秀孝厩舎)である。昨年の同レースでは勝利まであと一歩のところで、マカヒキの猛追に屈して惜しい2着。目前で逃したタイトルを今度こそ掴むため、今年のリベンジに燃えているはずだ。
アリストテレスが阪神競馬場で苦汁を嘗めたのは、昨年の京都大賞典に限った話ではない。阪神ではキャリア最多となる7度出走しているのだが、その結果は(0-4-0-3)とあと一歩のところで幾度も勝利を逃してしまっている。
実はこの仁川での4度の2着には、不思議な共通点が存在する。それがディープインパクト産駒、もしくは同じ血を引くキズナ産駒に敗れていることである。
先述のマカヒキに加えて、3歳時のすみれS(L)ではレクセランスに、新馬戦ではヴィーズバーデンに敗れており、この3頭はいずれもディープインパクトの産駒だった。また、2歳時に1勝クラスで先着を許したクリスティはキズナ産駒だ。
また、2着になった4レース以外の阪神競馬場での敗戦を振り返っても、ワールドプレミアが制した天皇賞・春(G1)、ディープボンドが制した阪神大賞典(G2)と、それぞれディープインパクト産駒とキズナ産駒が勝利したレースで後塵を拝した。
クロノジェネシスが勝利した宝塚記念(G1)こそ例外となるものの、残る6度の阪神競馬場のレースでは、偶然にもディープインパクトかキズナの産駒に対して後れを取った過去がアリストテレスには存在する。
7戦して4連対という結果を考えれば、アリストテレスが阪神競馬場を苦手としているとは考え難い。アリストテレス自身も母父からディープインパクトの血を受けているのだが、奇しくも同じ血を父系として引く馬に幾度となく先着を許してしまっている。
「天敵不在」の今年はチャンス
こうした不思議な巡り合わせもあり、阪神競馬場では未だに勝利を挙げることができていないアリストテレス。だが今年の京都大賞典は、8度目の挑戦にして念願の仁川での初勝利を挙げるチャンスといえるかもしれない。
今回の出走メンバーを見渡すとキズナ産駒は1頭もおらず、ディープインパクト産駒もディアスティマの1頭のみ。加えてこのディアスティマは約1年4か月ぶりの故障明けでの出走であり、ほぼノーマークに近い存在だ。有力馬の中にこれといった「天敵」がいないというのは、アリストテレスにとっては好材料といえるだろう。
アリストテレスは昨年1月のAJCC(G2)以降勝利から遠ざかっており、エピファネイア産駒が古馬になってから重賞を制覇したのも同馬の1勝のみ。
アリストテレスのみならず、3歳時に華々しい活躍を遂げたデアリングタクト、エフフォーリアといった面々も、古馬になってからは本来の能力を思えば実力を発揮できてはいない。こうした現状から世間では「エピファネイア産駒は早熟」という評価も出始めている。
「天敵」不在の京都大賞典でアリストテレスが復活の勝利を挙げることができれば、自身の、一族の価値を世間に示す大きなキッカケとなるはずだ。昨年のリベンジ、一族の威信、様々なものを背負って戦うアリストテレスの走りに期待したい。