【府中牝馬S(G2)展望】実績断然ソダシ&アカイイトが中心も「目標は次」
15日、東京競馬場では3歳以上の牝馬限定重賞、府中牝馬S(G2)が行われる。G1ウイナーの2頭が注目されるが、G1で好走実績がある馬や昨年覇者など難解なメンバー構成となりそうだ。
G1ウイナーの1頭、白毛馬のソダシ(牝4歳、栗東・須貝尚介厩舎)が断然の主役を務める。
これまでG1・3勝を含めて重賞6勝を挙げるなど、実績は現役屈指の存在だ。この春はヴィクトリアマイル(G1)を制し、3つ目のG1タイトルをゲットしている。
その後、陣営は中距離への未練もあったのか、夏の札幌記念(G2)で連覇を狙いにいったが、結果は5着。好位3番手から4角で前の2頭を射程に入れながら、最後の直線では失速してしまった。結局、この秋はマイル路線専念がほぼ確定的となり、大目標をマイルCS(G1)に設定。札幌記念から直行の可能性もあったが、府中牝馬Sでひと叩きして本番へと向かうことになった。
札幌記念の2000mから一気に2ハロン短縮するよりも、1800mを挟むことでマイルの流れには対応しやすくなる。ただ、目標は先でもG1・3勝馬としては負けられない一戦。デビューから手綱を取り続けている吉田隼人騎手とともに前走の嫌な流れも断ち切っておきたいところだろう。
もう1頭のG1ウイナー、アカイイト(牝5歳、栗東・中竹和也厩舎)も大目標は次走に予定しているエリザベス女王杯(G1)になるだろう。
昨年は6月に3勝クラスを勝ったあと、秋の始動戦として府中牝馬Sに出走。この時は12番人気で7着に敗れたが、最後の直線では後方から鋭く末脚を伸ばしていた。
1年前は前哨戦7着をステップにエリザベス女王杯では10番人気の低評価を覆して優勝。その後は牡馬の一線級相手に、有馬記念(G1)7着、金鯱賞(G2)3着、大阪杯(G1)10着とまずまずの走りを見せ、前走・ヴィクトリアマイルは距離不足が明らかだったが、それでも8着に入っている。
これまでの走りからも分かる通り、アカイイトは消耗戦になったときに底力を発揮するタイプ。府中の芝1800mは瞬発力勝負になる可能性が高いため、この舞台では昨年同様苦戦は必至か。ソダシと同様にG1馬としては負けたくない一戦にはなるが、あくまでも陣営の算段はエリザベス女王杯にピークを持ってくることだろう。
昨年の秋華賞(G1)でソダシに先着しているアンドヴァラナウト(牝4歳、栗東・池添学厩舎)も、前出の2頭と同じくヴィクトリアマイル以来の実戦を迎える。
昨秋はローズS(G2)を勝ち、秋華賞でも3番人気で3着に好走。その後は愛知杯(G3)11着、阪神牝馬S(G2)2着、ヴィクトリアマイル14着と、好走と凡走を繰り返している。
前走は上手く流れに乗れず、いつもよりやや後ろの位置取り。最後は末脚に懸けたが、府中の長い直線でズルズルと後退してしまった。この時は馬体重も10kg減と東京への長距離輸送も影響したか。
祖母が女傑エアグルーヴ、母はマーメイドS(G3)を制したグルヴェイグという良血馬は、引き続き福永祐一騎手とのコンビでローズS以来の勝利を狙う。
シャドウディーヴァ(牝6歳、美浦・斎藤誠厩舎)は、近走こそ不振だが、昨年の当レースを大外一気の強襲で制した。2年前にもサラキアの2着に入っており、この舞台なら巻き返す可能性は十分あるだろう。
クリノプレミアム(牝5歳、美浦・伊藤伸一厩舎)は、約1年前にオープン昇級。当初は苦しい戦いを強いられていたが、今年3月以降は重賞で4戦して「1-1-1-1」と安定している。唯一の着外もG1のヴィクトリアマイルなら、ここは上位争いに加われるはずだ。
重賞2勝の実績馬リアアメリア(牝5歳、栗東・中内田充正厩舎)は、2年以上馬券に絡んでいないが、初コンビの藤岡佑介騎手が新味を引き出すことができるか。相変わらず出遅れ癖はあるが、近走では唯一好発を決めた2走前のマーメイドSで4着に好走しており、ここもスタートさえ決めれば、上位進出の可能性も出てくる。
サトノセシル(牝6歳、美浦・堀宣行厩舎)はクイーンS(G3)で2年連続馬券圏内に好走。洋芝専用機と見る向きもあるが、東京コースでも2着、2着、4着と安定しており、ここでも無視できない存在だ。
この他には、全姉にオークス馬のシンハライトがいるライティア(牝5歳、栗東・池添学厩舎)、昨年のフローラS(G2)を制したクールキャット(牝4歳、美浦・奥村武厩舎)、アンドヴァラナウトの全姉ゴルトベルク(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)なども上位を伺う。
ソダシの参戦で注目される府中牝馬Sは、15日の15時45分に発走予定となっている。