池添謙一も、C.ルメールも密かに惚れる「大物牝馬」が復帰戦で快勝! 川田将雅「お姉さんになった」2歳女王候補の妹は遅咲き

川田将雅騎手

 9日、秋の東京競馬の開幕を告げる毎日王冠(G2)が行われたこの日、8Rの3歳以上1勝クラスを勝ち上がったのは、川田将雅騎手の4番人気リアグラシア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)だった。

「大物牝馬」が復帰戦で快勝!

 13頭立てで行われた東京マイルの一戦。昨年11月以来のレースとなったリアグラシアは、プラス22キロという馬体重もあって4番人気だった。

 しかし、レースでは最後の直線で外に持ち出されると、持ち前の鋭い末脚を発揮。残り1ハロンで先頭に躍り出ると、最後は2着モメントグスタールの追撃を1馬身振り切ってゴールした。

「人気こそ4番人気でしたが、自ら先頭集団を潰しに行って、残り200mで先頭に立つ横綱相撲。さすがに少し身体が重そうでしたが、川田騎手は勝ちに行く競馬をしたと思います。この馬体、この内容でしっかり勝てたことは今後を考えても大きいですよ」(競馬記者)

 昨年6月にデビューしたリアグラシアは、はっきり言って「期待ハズレ」と言わざるを得ない存在だった。

 前週に日本ダービー(G1)を終えたばかりの東京。翌年のクラシックを見据える2歳馬にとって新馬戦の開幕週に登場するのは、それだけで意味のあることだ。近年、数多くの重賞馬・G1馬が“世代一番星”を飾って大きく羽ばたいている。

 そんな中、日曜の東京マイル戦に登場したリアグラシアは、姉にデビュー戦とアルテミスS(G3)を連勝し、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で単勝1.8倍という圧倒的な人気に推されたリアアメリアがいる良血馬。姉と同じ快進撃を期待された妹は、評判馬揃いのレースで1番人気に推された。

 しかし、結果は3着。レース後、姉の主戦も務めた川田騎手は「初戦なので動きませんでしたが、良い内容だったと思います」と馬を庇ったが、次のレースの鞍上にその姿はなかった。

 その後、すぐに未勝利戦を勝ち上がったリアグラシアだが、池添謙一騎手からは「まだ身体が幼くて緩い。パンとしていないところがありますね」「直線で抜け出してからも、自分で体を支えきれなくて左にモタれていました」と手厳しいコメント。

 そんな名手の指摘を体現するように、続く1勝クラスで連敗を重ねたリアグラシア。さらには骨折してしまい、翌年のクラシックを棒に振る格好になってしまった。あれから約11カ月、今回のレースは「再始動」と言える一戦だった。

「故障でクラシックに挑戦できなかったことは残念ですが、今回のレースを見て個人的にはリアグラシアの場合、怪我の功名というか、じっくり休養できたことで2歳時には足りていなかった成長を促せたようにも感じています。

プラス22キロは、さすがに少し余裕残しに感じましたが、大半は成長分かと。ディープインパクト産駒の姉は早い時期から活躍していますが、キングカメハメハ産駒の妹は奥手の傾向があるかもしれませんね」(同)

 実は、2戦目の未勝利戦で初勝利に導いた池添騎手は、課題を指摘しながらも最後に「まだこれからですが、良い馬です」と評価している。3戦目のサフラン賞(1勝クラス)で騎乗したC.ルメール騎手も「スローペースで速い反応ができなかった」と課題を挙げながら、最後には「でも、良い馬です」と、その素質を認めていた。

「久々に乗りましたが、身体つきも精神的にもお姉さんになって戻ってきました」

 復帰戦を勝利で飾り、川田騎手からそう評価されたリアグラシア。デビュー戦で手綱を取った姉の主戦が期待を寄せるように、遅まきながら心技体のバランスが取れ、眠っていた素質がじょじょに開花しようとしている。

 昨年は、デビュー前から脚光を浴びながらも、その期待に応えることができなかった。来週の秋華賞(G1)で姉が敗れた牝馬三冠戦線は終わってしまうが、遅れてきた妹の競走生活はまだ始まったばかりだ。

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