最有力馬の回避に「武豊優先主義」も関係!? ジャパンCで継続騎乗に勝算あり
当初、ジャパンC(G1)で復帰を予定していたドウデュースの回避もあり、武豊騎手はブルームとのコンビが有力視されていた。懇意にしているキーファーズと繋がりが強い馬だけに、その可能性は高いはずだった。
だが、そのブルーム陣営が来日をキャンセル、ジャパンCの回避を発表。最終的にアルゼンチン共和国杯(G2)で2着だったハーツイストワール(牡6、美浦・国枝栄厩舎)とコンビを結成することが分かった。
「直線でアクシデントがあってブレーキを踏んだのが痛かったです。ただ、左回りだと走りが違いますね。上手に走ってくれます」
武豊騎手がそう振り返ったように、逃げていたキングオブドラゴンが最後の直線で内ラチに激突する想定外のアクシデントも発生したレース。その煽りを受けた馬が横から玉突き事故のような格好で不利を被り、被害馬にハーツイストワールも含まれていた。
勝ち馬のブレークアップも不利を受けたものの、一列前にいたこともあって他馬に比べると影響はわずかで済んだ。ハーツイストワールが2着を確保したとはいえ、1馬身1/4という着差を考えると悔いの残る結果といえる。
その結果を受けてか同馬を管理する国枝調教師も『サンケイスポーツ』の取材に「これからオーナーともいろいろ相談しますが、登録はする予定です」と回答したものの、ジャパンC参戦にそれほど前向きなニュアンスではなかった。
だが、出走が正式に発表された際、武豊騎手の継続騎乗を歓迎するコメントが出たことを考えると、名手の確保に成功したことが出走決断の決め手となったかもしれない。
府中巧者ハーツイストワールが台風の目に!?
ハーツイストワールにとってジャパンCが好都合なのは、やはり10戦9連対の好相性を誇る東京競馬場で開催されることだ。ドウデュース、アルピニスタ、イクイノックスが揃って回避した今ならライバルの層も薄くなる。大の得意とする左回りなら重賞勝ちの実績のないハーツイストワールが通用しても不思議ではないだろう。
また、参戦濃厚と見られていたブルームが武豊騎手の熱烈なファンであるキーファーズの関係馬であることも、ハーツイストワールの参戦に少なからず影響したという見方も出来そうだ。
憶測であることは重々承知の上だが、昨年のジャパンCで11着に大敗している6歳馬のブルームより、重賞で勝ち負けを演じたハーツイストワールの勢いを考慮すると、後者の方に魅力を感じてもおかしくはない。
ブルームの回避についても、その理由は現在のところ明らかにされていない。騎乗馬がいないならともかく、キーファーズが武豊騎手の活躍を望んでいるなら、ブルームより勝算がありそうなコンビを優先したとしても合点もいく。
実際のところは不明だが、もしそういった裏事情もあっての選択だとすれば、善戦以上の期待をしたくなるが……。