気になる川田将雅「2つ」の9連敗…ジャパンCダノンベルーガが流れを変えるか
27日、東京競馬場では国内外のトップホースが集う秋の大一番・ジャパンC(G1)が行われる。残念ながら今年の凱旋門賞(G1)を制したアルピニスタは参戦を取りやめたものの、それでも4頭の外国馬が登録。例年以上に国際色豊かな面々が府中に集った。
一方で迎え撃つ日本馬は天皇賞・秋(G1)を制したイクイノックスが暮れの有馬記念(G1)に矛先を向けるなど、今年はやや手薄な感も否めない。
それでも、2021年のダービー馬であるシャフリヤールが“日本総大将”として出陣。こちらは今年の3月にジャパンCの指定競走のひとつであるドバイシーマクラシック(G1)を制しているため、もしここを勝てば昨年から1億円上乗せされた4億円の本賞金に加え、200万ドル(約2億8200万円)の褒賞金も手にすることができる。フルパワーで挑んでくることは確実だ。
そのシャフリヤールの対抗馬と目されているのが、ハイレベルな3歳世代の代表として登場するダノンベルーガ(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)。実績を見ると5戦2勝でG1未勝利、主な勝ち鞍は共同通信杯(G3)となっているが、前走の天皇賞・秋では初の古馬との激突ながら3着と奮闘。シャフリヤールの前でゴール板を駆け抜けている。
同世代のライバル・イクイノックスのG1初制覇を後ろから見届ける悔しい結果になったものの、天皇賞・秋に続いて先週のマイルCS(G1)でも3歳馬のセリフォスが勝利。2019年産世代が、そのレベルの高さを証明し続けているだけにダノンベルーガも負けてはいられない。
ただ、気がかりなのがコンビを組む川田将雅騎手の近況である。今季はここまで134勝を挙げてリーディング争いの首位を快走しているのだが、ここに来て「2つの9連敗」という苦境の真っ只中にいる。
気になる「2つの9連敗」とは…
まずひとつ目が、「JRAのG1」における9連敗。今年は4月に桜花賞(G1)をスターズオンアースとのコンビで制し、5月にはNHKマイルC(G1)をダノンスコーピオンとともに制覇。2カ月連続でG1勝利を挙げているが、以降のG1戦は先週のマイルチャンピオンシップまで9戦勝ちなし。馬券内の食い込みも、ダノンベルーガと挑んだ天皇賞・秋の3着が唯一だった。
2022年も残すところ1カ月とちょっと。今後は毎週ビッグレースが控えているだけに、ここで嫌な流れを食い止めておきたいところだ。
そしてもうひとつが「馬主・ダノックス」とのコンビで9連敗。川田騎手とダノックスと言えば、今年も馬主別の乗り鞍数で最多の39回に騎乗している蜜月の関係。上でも触れたように今年もダノンスコーピオンとのコンビでG1勝利を挙げており、昨年もG1計3勝のうち2つがダノックスの持ち馬。“黄金タッグ”としてお馴染みだ。
ところが、先週のマイルCSはダノンスコーピオンとのコンビで11着と敗戦。前日には東スポ杯2歳S(G2)にダノンザタイガーとのコンビで挑むも2着に終わり、その前の週もダノンタッチダウンと挑んだデイリー杯2歳S(G2)でこれまた2着。このところ勝利を挙げることができていない。
振り返ってみると川田騎手×ダノックスでの勝利は、意外にも2か月前の9月18日中京6R(1勝クラス)のダノンフォーナインまでさかのぼる。ちなみに、9連敗のうち2着が4回あり、3着も3回。馬券内には食い込んでいるものの、勝利まであと一歩届いていないというのが、何とももどかしいところだ。
川田騎手×ダノックスでは、ダノンスコーピオンとダノンザキッドが12月の香港国際競走に参戦を予定しており、ダノンタッチダウンも朝日杯フューチュリティステークス(G1)を目指して調整を進めている。すぐそこに大舞台が控えているだけに、やはり11月のうちに“トンネル”は脱出しておきたいところだ。
今回ジャパンCに挑むダノンベルーガと言えば、ダノックス初のダービー制覇の有力候補として早くから期待をかけられていた逸材。もともとデビュー戦と2戦目の共同通信杯は別の騎手が手綱を取っていた中、皐月賞(G1)から川田騎手に変更になったところを見ても、オーナーの川田騎手への信頼度の高さが見て取れる。
しかし、相手も強かったとはいえ、ここまで川田騎手とのコンビでは3戦して4着・4着・3着というのが現実。ダノックスの主戦騎手として、このままでは終われないという思いは当然あるはずだ。
オーナーの期待に応え、自身の嫌な流れも経ち切り、初のリーディング獲得もかかる勝負の12月戦線へ弾みをつけることができるか。ジャパンCでは川田将雅騎手の逆襲に期待したい。