武豊、福永祐一より怖い波乱の使者が不気味…「フロック扱い」が大間違いのワケ

 先週行われたジャパンC(G1)は芝の最高峰といえるレースの一つだったが、今週末に開催されるチャンピオンズC(G1)はダート界の頂点を決める一戦だ。

 海外の重賞勝ち経験を持つ3歳馬や、芝からダート転向後に成果を出した新星など、個性的な顔ぶれが揃った今年のチャンピオンズC。なかでも、人気の中心は昨年の覇者であるテーオーケインズだろう。

 これまでG1・3勝の実績は一枚も二枚も抜けている。地方や海外のG1では敗れる事があったものの、中央ではここ2年ほど4戦4勝と負けなし。前走では約4か月ぶりとなったJBCクラシック(G1)を完勝しており、戦前から1強ムードが漂っている。

 だが、そんな絶対王者にも死角がないわけではない。

 チャンピオンズCの前身であるジャパンCダート(G1)時代も含め、過去22回で連覇を果たしたのはトランセンドのみ。近年でも、サウンドトゥルー、クリソベリル、チュウワウィザードなどが連覇に挑戦したが、いずれも敗れている。

 また、今年のG1はとにかく1馬人気が不振。勝ったのは天皇賞・秋(G1)を制したイクイノックスのみで、実に18頭もの主役たちが涙を飲んできた。

 先日から始まったサッカーのワールドCでも、優勝候補の呼び声高いアルゼンチン、ドイツ、ベルギーなどが次々と敗れる番狂わせが起こっている。競馬においても絶対がないことは、大本命のエフフォーリアが春のG1で人気を裏切ったことでも分かるだろう。

 とはいえ、大敗続きの馬が大金星を狙えるのかといえばそれも難しい。過去を振り返っても、上位人気以外で勝利しているのは前走で3着以内に入っている馬ばかり。単勝12番人気で勝利したサンビスタも前走で2着と好走していたように、過小評価となっている馬にもチャンスがありそうだ。

 そうなると、メンバーの中で前走3着内に好走した馬はテーオーケインズをはじめ5頭ほどに限られるが、最も配当妙味がありそうなのがサンライズホープ(牡5、栗東・羽月友彦厩舎)だ。30日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは単勝10番人気想定となっている。

「フロック扱い」が大間違いのワケ

幸英明騎手

 前走のみやこS(G3)では、11番人気の低評価を覆して勝利。レース後には、鞍上の幸英明騎手が「最近前に行ってもう一つのレースが続いていたので、どこかで今日のような競馬をしたいと思っていました」と振り返った通り、先行脚質だった同馬の新味を引き出した快勝だった。

 勿論、偶然の出遅れで選択せざるを得なかった後方待機策がハマった結果ということもあり、この勝利をフロック視するファンが多いかもしれないが、G1・5勝のオメガパフュームや古馬相手の重賞でも好走が目立つハピを破ったのだから、その価値は小さくない。今回と同じ中京コースでも、昨年のシリウスS(G3)を勝利しているだけに、適性のある舞台設定といえる。

 また、鞍上が幸騎手なのも頼もしい。前走の脚質転換が上手くいったこともあり、これまでのような先行策に戻すことも考えづらく、幸騎手も虎視眈々と後ろからチャンスを狙うはずだ。

 昨年のエリザベス女王杯(G1)では10番人気アカイイトの鞍上を務め、外から捲り気味に上がって差し切り勝ちと大舞台で波乱を演出している。今回も先行して捻じ伏せるような競馬をするテーオーケインズにマークが集まり、他馬が早仕掛けになる展開になれば、サンライズホープの追い込みが炸裂しても不思議はない。

 テーオーケインズの1強ムードが漂っているものの、波乱の余地も十分考えられる今週のチャンピオンズC。番狂わせが連発しているサッカーと同じく、サンライズホープと幸騎手のコンビも一発があってもおかしくはない。

ハイキック熊田

ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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