兄・武豊の出走取消もなんの! 競馬界の「幼なじみ」コンビが決めた新馬戦初V

秋山真一郎騎手

 3日、阪神6Rに行われた2歳新馬戦(芝1400m)は、秋山真一郎騎手の7番人気イリゼ(牝2歳、栗東・武幸四郎厩舎)が直線で差し切って優勝。伏兵評価を覆す見事な切れ味で、単勝30.6倍の小波乱を起こした。

 1頭取り消しで15頭によって争われた一戦。イリゼと秋山真騎手は道中で前から7番手付近のラチ沿いをキープ。先行集団を射程圏に見ながら4コーナーを回る。

 直線に入ると馬群の外へスムーズに持ち出すことに成功。鞍上のステッキに応えてじわじわと加速すると、逃げ込みを図るC.ルメール騎手のロッソジュリアをゴール前できっちりと捕らえた。

「ほぼロスのない見事な立ち回りでしたね。逃げたロッソジュリアとR.ムーア騎手のハルクバローズが前で競り合ったことで、1000m通過が57秒5とそれなりに速く流れたこともよかったと思います。

なおサトノアラジン産駒のイリゼは、マイルCS(G1)を勝ったシンコウラブリイと同じ一族にあたる良血。近親のサブライムアンセムが今年3月に同コースのフィリーズレビュー(G2)を制していますし、これくらいの距離が合っているのかもしれませんね」(競馬誌ライター)

 抜け出してからは手綱を流す余裕も見せており、レース後にはSNSやネット掲示板などにも「上のクラスでも十分通用しそうな末脚」「この血統で人気薄だったのは意外」などのコメントも寄せられている。

競馬界の「幼なじみ」コンビが決めた新馬戦初V

 またこの勝利は、イリゼを管理する開業5年目の武幸調教師にとっても胸を熱くさせるものがあったかもしれない。

 もともと武幸厩舎はこのレースに、イリゼとノヴェントの2頭出しを予定していた。ノヴェントの方には厩舎の勝ち頭である兄・武豊騎手を配していたことからも、期待を寄せていたことが窺える。

 だが、当日になってノヴェントが疾病で出走取消に。厩舎にとってはやや雲行きが怪しくなるような状況だったが、師の競馬学校時代の同期である秋山真騎手がイリゼを勝利に導き、見事に暗雲を振り払った。

 JRA競馬学校の13期生として苦楽を共にしてきた幸四郎師と秋山真騎手は、実は小学校の時からの幼なじみでもある。師が調教師試験に合格した際に同騎手は大いに祝福し「パドックで(馬に乗る際に)足を上げてもらうのが夢」とも語っている。

「秋山真騎手は武幸厩舎の管理馬ブライティアレディで初勝利をあげた際、よほど嬉しかったのか入線後ガッツポーズ。レース後には『同級生で幼なじみの武幸厩舎の馬で勝てたのが、何よりも嬉しい』と語ったことでも、2人の絆の強さが伝わってきます。

今週はワールドカップの日本対スペイン戦で決勝ゴールを決めた田中碧選手と、アシストした三笘薫選手が小学生の頃からの幼なじみで話題になりましたが、ここでは競馬界の幼なじみコンビが見事に決めてくれましたね」(同)

 そんな秋山真騎手はレース後、イリゼについて「芝がいいですね。距離はこれくらいがいいと思います」と評価。なお武幸厩舎×秋山真騎手のコンビは通算10勝目だが、新馬戦ではこれが初勝利になった。

 世界の舞台で輝きを放った田中碧選手と三笘選手のように、この同級生コンビとイリゼにも、これから大舞台へと羽ばたいてくれることに期待したい。

冨樫某

キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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