「弱小」コントレイル世代の番狂わせ!? 遅れて来た大物が立て続けの逆襲

コントレイル

 昨年のジャパンC(G1)を1番人気に応えて優勝したコントレイル。無敗の三冠馬のラストランを飾るに相応しい見事な勝利だった。引退後は種牡馬入りし、ディープインパクトの後継種牡馬の筆頭として活躍を期待されている。

 その一方で、三冠馬が誕生する世代について回るのが、同世代にこれといった強力なライバルがいなかったという説だ。近年を振り返っても1994年ナリタブライアン、2005年ディープインパクト、2011年オルフェーヴル、そして2020年コントレイルと三冠馬のいた世代ですぐに名前の浮かぶG1馬は、そういないのではないか。

 そういった意味でも力が拮抗していないからこそ、抜けた馬が三冠馬になるのは合点がいく話である。

 世代の筆頭格であるコントレイルが引退したことにより、G1タイトルの上乗せも難しくなった。例に違わず、この世代を「低レベル」だったと評する声が後を絶たなかったのも事実だ。

 大阪杯(G1)をポタジェが制したことで一矢を報いたが、秋G1で惨敗を続けたその後の成績を考えると2勝目を期待しづらい雰囲気。無敗で牝馬三冠の偉業を達成したデアリングタクトの不振もあり、このままでは史上最弱の三冠馬世代というありがたくないレッテルを貼られても不思議ではない状況だったといえる。

 当初はクラシックで覇を争ったサリオスがコントレイルのライバル筆頭と見られていたものの、古馬となってからはG1で善戦までしても勝ち切るところまではいかなかった。

遅れて来た大物が立て続けの逆襲

 ところが、そんな窮地に追い込まれていたコントレイル世代の救世主となりそうな大物が、立て続けに登場したことは驚かされた。

ジュンライトボルト

 それはジャパンCを制したヴェラアズールとチャンピオンズC(G1)を制したジュンライトボルトの2頭。両馬に共通しているのは、3歳クラシックに全く縁がなかった点である。

 前者はデビューから続けてダート路線を歩み、芝に転向したのも今年の3月。これとは逆に後者はデビューから続けて芝路線を歩み、ダートに転向したのが今年の7月という遅さ。それもわずか6戦目、4戦目で頂点まで駆け上がるというシンデレラストーリーだったのだから異例のスピード出世といえる。

 しかも、2頭とも適性のあった路線に転向したことで水を得た魚のような快進撃を演じているだけに、これからさらに伸びしろを期待できるだろう。5歳の秋にようやく覚醒したとはいえ晩成タイプなら引退までまだまだ時間は残されている。

 ヴェラアズールは有馬記念(G1)、ジュンライトボルトはフェブラリーS(G1)を視野に入れているとのこと。2頭の今後の活躍次第では、「弱小世代」の評価を覆す番狂わせがあってもおかしくない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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