武豊JRA・G1「完全制覇」へ…ドゥラメンテ産駒の「怪物候補」と新コンビか
11日には香港のシャティン競馬場で香港国際競走が開催される。4つあるG1のうち2鞍に騎乗を予定しているのは武豊騎手だ。
特に注目されるのは、ジャックドールとの新コンビで臨む香港C(G1)の方だろう。天皇賞・秋(G1)で不完全燃焼の4着に敗れた同馬の新味をうまく引き出すことができれば、2015年エイシンヒカリ以来、2度目の同レース制覇も見えてくる。もうひと鞍の香港ヴァーズ(G1)には外国馬のブルームに騎乗予定。勝てば01年ステイゴールド以来、21年ぶりの戴冠となる。
その一方、国内外でありとあらゆるビッグタイトルを手中に収めてきた武騎手だが、JRAのG1で唯一勝てていないのが年末に行われるホープフルS(G1)だ。
ちょうど1年前に朝日杯FS(G1)をドウデュースで勝利したことで、G1完全制覇にリーチを懸けた武騎手。昨年は5番人気のアスクワイルドモアとのコンビで臨んだが、落鉄の影響などもあって10着に敗れ、偉業達成はお預けとなっていた。
「怪物候補」と新コンビか…
そんな武騎手だが、今年のホープフルSでコンビを組む“相棒”が決まったようだ。ドゥラメンテ産駒のセレンディピティ(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)である。
10月に阪神芝2000mでデビューしたセレンディピティ。初戦は4番人気と下馬評はそれほど高くなかった。しかし、素質馬のグランヴィノス相手に2着を確保したことで、評価を上げた。
続く2戦目はデビューから1か月後。再び同じ阪神芝2000mの未勝利戦に登場すると、単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された。スタートは一息で、道中は後方からの競馬。好位を進んだ初戦から一転、苦しい戦いを強いられるかと思われたが、向正面で早めにスパートすると、直線は1頭だけ違う脚色を発揮し、後続を4馬身も引き離す圧勝劇を演じてみせた。
このレースでセレンディピティが記録した上がり3ハロンは34秒7。外々を回るロスがあったにもかかわらず、ノーステッキで次点の馬を1秒0も上回る“鬼脚”には父ドゥラメンテの姿を重ね合わせたファンもいたはずだ。
過去2戦でコンビを組んでいたのは松山弘平騎手だが、同騎手は東京スポーツ杯2歳S(G2)3着馬のハーツコンチェルトとのコンビで参戦予定。そこでお鉢が回ってきたのが武騎手というわけだ。
現段階ではフルゲート18頭に対し、17頭が登録を予定しているという。このままであれば、1勝馬(収得賞金400万円)のセレンディピティも出走が可能となるが、本番まではまだ2週間ある。今後、参戦を表明する馬も出てくるはずで、セレンディピティを含めた1勝馬は抽選対象になる可能性が高くなりそうだ。
前走の勝ちっぷりから、有力候補の1頭に数えられてもおかしくないセレンディピティ。もし出走が叶えば、武騎手の大偉業達成のチャンスが見えてくる。