【ターコイズS(G3)展望】ソダシ妹ママコチャ「4連勝」で姉の待つG1へ!

 2015年に新設重賞として創設され、16年に重賞に格付け、17年からG3となったターコイズS(G3)。創設後の過去7回を東西所属別で見ると、関東馬「3-1-1-49」に対し、関西馬は「4-6-6-42」と、複勝率は関西馬が3倍超と活躍している。

 果たして今年も関西馬が中心となるのだろうか、レースを展望していこう。

 関西馬の中で最も注目を浴びるのは目下3連勝中のママコチャ(牝3歳、栗東・池江泰寿厩舎)だろう。ソダシの全妹としてデビュー前から注目の的だったが、毛色が鹿毛ということもあり、白毛の姉に比べると話題になることは多くなかった。

 2歳から3歳春にかけての戦績も、デビューから無敗で阪神JF(G1)と桜花賞(G1)を制した姉に比べるとかなり地味な印象だ。それでもファンタジーS(G3)3着、エルフィンS(L)2着と同世代の牝馬相手に互角の勝負をしてきた。

 そんなママコチャが本格化の兆しを見せたのは今年の夏。エルフィンS後に無理をさせず、4か月半の休養を入れたのが吉と出た。6月に自己条件の1勝クラスで出直しを図ると、古馬相手に2勝目をゲット。さらに夏のローカルで2勝クラス、3勝クラスを快勝し、3連勝で一気にオープン入りを果たしている。

 前走後はすぐに目標をここに設定。昇級初戦のハンデ戦で、ある程度斤量にも恵まれるはず。今後大きいところを狙うためにも、まずはしっかり賞金加算をしておきたいところだろう。

 もしここで勝利を挙げることができれば、来春のヴィクトリアマイル(G1)で姉ソダシとの直接対決に大きく近づく。ママコチャにとっては試金石の一戦といえそうだ。

 関西馬ながら関東遠征が多く、特に中山競馬場で好成績を残しているのがミスニューヨーク(牝5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)である。

 中山では6戦して「3-0-1-2」、2度の馬券圏外は5着、4着なので、全て掲示板を確保している相性抜群の舞台といえる。さらに中山で挙げた3勝のうちの1勝が1年前の当レース。4角では後方2番手の位置取りだったが、53kgの斤量を生かして直線一気の豪脚を披露。8度目の重賞挑戦で初Vを飾った。

 その後は中山牝馬S(G3)で僅差の3着に好走するも、ヴィクトリアマイルは10着。さらに中京記念(G3)が2番人気4着、京成杯AH(G3)でも3番人気4着と今一歩の競馬が続いている。昨秋からコンビを組んでいるM.デムーロ騎手を背に得意舞台で復活なるか。

スカイグルーヴ

 今年は関東馬の層も薄くはない。戴冠に最も近いのは良血スカイグルーヴ(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)だろう。

 父エピファネイア、母アドマイヤセプター、曾祖母が女傑エアグルーヴという名牝系の出身で、デビュー前から牝馬クラシックを期待する声も少なくなかった。実際にデビュー2戦目の京成杯(G3)で牡馬を相手に2着に入るなど素質の片鱗をのぞかせていたが、気性難もあり、牝馬三冠レースには出走できなかった。

 そんなスカイグルーヴの成績が安定したのは、1400mを中心とした短距離路線にシフトしてから。5歳となった今春は京都牝馬S(G3)と京王杯SC(G2)で連続2着に好走し、重賞制覇は時間の問題と思われた。しかし、関屋記念(G3)4着に続き、前走・スワンS(G2)は不可解な最下位18着。久々の長距離輸送で馬体重を減らしたことが響いたか。今回も引き続きC.ルメール騎手とのコンビで、前走からの巻き返しを図る。

エリカヴィータ

 関東の名門厩舎が送り込むエリカヴィータ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)は、古馬との初対決を迎える。

 今年4月にはオークスTRのフローラS(G2)を勝利。本番でも穴人気(6番人気)したが9着に敗れ、その後はぶっつけで挑んだ秋華賞(G1)で13着と、近2走は精彩を欠いている。

 今回は距離短縮と叩き2戦目で変わり身を見せたいところ。鞍上を務めるのは先日、調教師試験の合格が報じられた福永祐一騎手。残り少なくなった重賞制覇のチャンスをつかみたい。

サブライムアンセム

 エリカヴィータと同じく今春に牝馬クラシックTRを制したのがサブライムアンセム(牝3歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。

 勝利したのは3月のフィリーズレビュー(G2)。スタートで遅れ、道中は後方に位置していたが、直線で馬群を割ると、ナムラクレアに先着を果たした。続く桜花賞(G1)は11番人気で9着、さらに秋の始動戦となったスワンSでは、ダイアトニックから0秒7差の8着と、こちらもトライアル快勝後は結果が出ていないが、叩き2戦目で上昇に期待だ。

 やや安定感を欠く3歳馬のエリカヴィータとサブライムアンセムの2頭に対して、ウインシャーロット(牝4歳、美浦・和田正一郎厩舎)は、常に上位争いに顔を出している。

 デビュー戦こそ4着に敗れたが、その後は勝利した前走オーロC(L)まで12戦連続で3着以内を継続中。中山では「0-3-1-0」と勝ち切れていないが、持ち前の先行力を生かすことができれば、重賞初出走でのVも夢ではない。

 この他には、短期免許で来日しているあの夫婦にもチャンスがある。T.マーカンド騎手は、今年の福島牝馬S(G3)を制したアナザーリリック(牝4歳、美浦・林徹厩舎)と、H.ドイル騎手は、2年前にフラワーC(G3)を制したアブレイズ(牝5歳、栗東・池江泰寿厩舎)と、それぞれ初コンビを結成する。

 来年のヴィクトリアマイルにもつながる一戦を制するのは白毛一族のママコチャか、それとも連覇を狙うミスニューヨークか。ターコイズSは、17日の15時25分に発走を迎える。

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