東京大賞典に「まるでG2」の厳しい声…超目玉の離脱にガッカリ感拭えず

エフフォーリア 撮影:Ruriko.I

 25日に開催される暮れのグランプリ・有馬記念(G1)。出走を予定しているメンバーの顔触れも分かり、メディアやSNSなどでは早くも展望や予想が始まっている。日本ダービー(G1)と並び、お祭りに例えられるレースなだけに、普段は競馬に馴染みのない層も有馬記念の名前を耳にする機会が増えている。

 また、今年は超豪華なメンバーが揃ったことも、ドリームレースの熱戦を期待するファンの楽しみが増えた理由の一つだろう。

 予期せぬ不振に陥った春からの失地回復を狙う昨年の覇者エフフォーリアをはじめ、同馬に代わって天下を取ったタイトルホルダー、天皇賞・秋(G1)で古馬を蹴散らした3歳馬イクイノックス、ジャパンC(G1)を制した新星ヴェラアズール、ジェンティルドンナとの母仔制覇が懸かるジェラルディーナにポタジェ、アカイイトといった総勢7頭のG1馬が名を連ねている。

 これに加えて、調教師試験に合格した福永祐一騎手は来年2月一杯で引退も決定。コンビを組むボルドグフーシュと挑む最後の有馬記念で初勝利の期待も懸かる。ホープフルS(G1)が28日に控えているとはいえ、こちらは2歳馬限定戦。多くのファンにとって実質的な最後のG1は、やはり有馬記念といっても過言ではないだろう。

 そんな中央競馬に対し、地方競馬の有馬記念に例えられるレースが、大井競馬場で29日に開催される東京大賞典(G1)である。

「まるでG2」の厳しい声…

 しかし、出走を予定しているメンバーを見渡すと、帝王賞(G1)の優勝馬メイショウハリオがいるものの、前走のJBCクラシック(G1)をテーオーケインズの5着に完敗したように絶対的な存在でもない。

 他のG1勝ち馬にしても、約1年半も勝利から見放されているカジノフォンテン、3戦連続で1番人気を裏切っているショウナンナデシコといった程度で、どの馬が勝っても不思議ではない混戦を避けられそうにない。今年最後のG1を飾るに相応しいハイレベルのレースを期待できるかとなると疑わしいところだ。

 この惨状には、想定馬が分かった段階でネットの掲示板やSNSなどでも、一部のファンから「これじゃまるでG2」「つまらなさそう」「今年は有馬が最後でいいや」とガッカリ感を拭えない声すら出ていたようだ。

 レースレベルが急落したように感じられる最大の原因は、やはりオメガパフュームの引退で間違いない。

 2018年から昨年まで東京大賞典を4連覇した芦毛の怪物は、史上初の快挙を達成したこの舞台が事実上のラストランと目されていたものの、陣営が出した結論は意外にも現役続行。7歳を迎えた今年もトップクラスの実力を示していたのだが、5連覇の偉業を前に引退が告げられた。

 陣営の説明によると、最大目標となる東京大賞典を目指して調整を続けていたが、年齢を重ねてレース後の疲労回復に時間を要するようになったため、状態に自信を持って送り出せないのでは、馬にもレースにも失礼と考えたとのこと。

 苦渋の決断をせざるを得なかった関係者の無念が伝わる一方で、今年の東京大賞典で最大の目玉が失われたことも事実。偉大な王者の姿を見られないことは残念だが、はたして次代を担うニューヒーローの誕生はあるだろうか。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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