JRA「3月売上壊滅的」ストライキは泣きっ面にハチだった!? 大幅ダウンという形で明確に表れたファンの声…春のG1連続開催に大きな不安
先週、JRA(日本中央競馬会)は令和4事業年度の決算を発表。昨年2022年の純利益837億8668万1276円は前年比117.7%と大きな伸び幅があった。
この好結果はJRAの運営努力や施策の功績であることは然ることながら、新型コロナウイルスの影響でによるステイホームで、インターネットの馬券発売がますます浸透した結果といえるだろう。また、競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)が大ヒットしたことも決して無関係ではないはずだ。
JRAはこれで2012年から11年連続の売上増。特に昨年の売上3兆2539億707万6200円の前年比105.3%は、この11年で最も大きな伸び幅となる。新型コロナの影響や円高などに相まって様々な娯楽が不振に喘ぐ中、「競馬」が独り勝ちしているような状況だ。
だが、そんな勢いに陰りが差そうとしていることは、あまり知られていない。
今年も開幕から大きな盛り上がりを見せ、いよいよ今週末の高松宮記念から春のG1連続開催に突入する中央競馬。しかし、実は今年ここまで行われた平地32重賞の大半が前年から売上を落としている。
今年最初の中山金杯(G3)が前年比110.0%と好調なスタートを切ったJRA重賞。しかし、1月最も売上を伸ばしたのがこのレースである一方、開催11重賞のうち7重賞が売上を落とす結果となった。特に頭数が揃わなかったシンザン記念(G3)、京成杯(G3)は、それぞれ-31.8%、-22.9%と大きく数字を落としている。
2月はドウデュースが圧勝した京都記念(G2)に好メンバーが揃ったこともあって、前年比127.9%と大きく売上を伸ばした一方、開催11重賞で6重賞が売上を落とした。
2月最大の下げ幅-11.0%を記録したのは、やはり頭数が揃わなかったきさらぎ賞(G3)。近年は昨年のイクイノックスを始め、トライアルや前哨戦を使わずにクラシックに挑む有力馬が増加しているが、1月のシンザン記念、京成杯を含め、メンバーの揃わない3歳重賞の売上に大きなマイナスが生じている。
そして、このマイナス傾向が顕著になったのが3月だ。
今月はここ(21日現在)まで平地10重賞が行われたが、昨年よりも売上を伸ばしたのはフィリーズレビュー(G2)の前年比106.0%のみ。他はすべて前年を下回る散々な結果が続いている。
特に大きく売上を落としたのが、共に18日に行われたフラワーC(G3)、ファルコンS(G3)で、それぞれ-40.5%、-42.3%と目も当てられない結果だった。
だが、これには明確な理由がある。
大幅ダウンという形で明確に表れたファンの声…
「3月18日」という日にピンときた競馬ファンも少なくないかもしれないが、この日は厩務員、調教助手らが加盟する4労組が、2011年から施行されている賃金体系の廃止を日本調教師会に求めてストライキを試みた日だ。
詳細は割愛するが、結果的に4労組とうち全馬労がストライキを回避した影響もあって、通常通りの競馬が開催されたことで厩務員、調教助手らの試みは“空振り”に終わっている。
しかし、SNSなどでは今回のストライキに対して賛否両論ある中「厩務員さんたちの気持ちはわかる」「これはJRAや調教師会側がおかしいような」といったファンの一定の理解があった。
フラワーCやファルコンSを始め18日の売上が大きく落ちたのは「競馬が開催されるかわからない」という不安に加え、JRAが競馬開催に踏み切ったことで厩務員、調教助手らの主張を押し潰したように見えたからだろう。不買運動は言い過ぎかもしれないが、少なくないファンがJRAに対して不信感を覚えた結果というわけだ。
ここまでの売上が決して順風満帆とはいえないJRAとしては、まさに泣きっ面にハチのような結果になってしまった。
全馬労を除く3労組は今後も春闘を続けていく方針を固めており、JRAも「来週以降に関しては(開催が)決まっていない」と今後もストライキの可能性を懸念している。予め開催を通達した19日のスプリングS(G2)、阪神大賞典(G2)もそれぞれ-10.5%、-14.1%という小さくはない売上ダウンとなった。
このまま春の連続G1開催を迎えることに大きな不安があることは間違いなく、JRAとしては一刻も早い事態の決着が望まれているに違いない。
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