JRA桜花賞(G1)「川田将雅×中内田厩舎」リバティアイランドが越えるべき壁。行き着く先は三冠ジェンティルドンナか没落ダノンファンタジーか?
今週末はいよいよ3歳牝馬クラシックの第一戦となる桜花賞(G1)が行われる。これまでのレース内容、そして川田将雅騎手ら関係者のコメントなどからも、リバティアイランドが圧倒的な人気を集めそうだ。とはいえ、何が起こるかわからないのが今年のG1レース。リバティアイランドに関しても、さまざまな角度から検証した方がいいだろう。
まずリバティアイランドはノーザンファームの生産馬で、サンデーレーシングの所有馬であることが大きなポイントだ。これまでもブエナビスタ、ジェンティルドンナ、グランアレグリアといった馬で、桜花賞だけでなく数々のレースを勝利した最強コンビ。他にもジェラルディーナ、クロノジェネシス、ラッキーライラックなど牝馬の強豪をターフに送り出してきた。
ブエナビスタは桜花賞、オークス(G1)を制した後、ヴィクトリアマイル(G1)、天皇賞・秋(G1)、ジャパンC(G1)などを制した名牝。約14億円を稼ぐなど、サンデーレーシングを代表する看板牝馬といえる。
ジェンティルドンナは牝馬三冠のほか、ジャパンCを連覇、ドバイシーマクラシック(G1)、有馬記念(G1)などG1・7勝を挙げ、13億円以上を稼いだ。産駒のジェラルディーナは昨年のエリザベス女王杯(G1)を制している。
グランアレグリアは桜花賞のほかに安田記念(G1)、スプリンターズS(G1)、マイルCS(G1)、ヴィクトリアマイルなど短距離~マイル路線で覚醒し10億円以上を獲得、近年最強のマイル女王として君臨した。
この3頭に匹敵する素質があるとも囁かれているリバティアイランドは、当然のことながら大きな期待が寄せられている。だが、そこに立ちはだかる大きな壁が、中内田充正厩舎の管理馬で鞍上が川田将雅騎手ということだ。
リバティアイランドが越えるべき壁とは…
中内田厩舎は実働10年で355勝、8年目の2021年にJRA年間リーディングを獲得した実績からもわかるように、今や日本を代表するトップトレーナー。今年もすでに17勝をあげ、勝率はなんと25.8%。重賞は通算33勝(地方交流重賞1勝を含む)でG1レースは5勝の実績。そして中内田厩舎の特徴といえば、2歳戦に強いということ。特にG1は5勝のうち4勝が阪神ジュベナイルF(G1)と朝日杯フューチュリティS(G1)の2歳G1。そしてJRA重賞32勝のうち、2歳重賞はなんと12勝もあるのだ。
しかし2歳G1を勝利した中内田厩舎の管理馬は、3歳になって期待通りの活躍を見せたかといえばそうとは限らない。例えば2017年に朝日杯FSを制したダノンプレミアムはその後、重賞を3勝したもののG1は1勝もできず、9戦未勝利のまま引退している。
また2018年の阪神JFを勝利したダノンファンタジーは、1番人気の桜花賞を含め、オークス、秋華賞(G1)の牝馬三冠すべてで馬券に絡むこともできなかった。さらにヴィクトリアマイルなども未勝利のまま、結局3歳以降はG1を6戦未勝利で引退した。
2020年の朝日杯FSを勝利したグレナディアガーズもまた、3歳以降はG1を5戦未勝利と勝てず。しかも今年行われた高松宮記念(G1)の敗退後には骨折が判明し、6か月以上の休養が必要という追い打ちをかけられた状況になっている。
このように中内田厩舎の管理馬は全体的に早熟傾向が強く、3歳クラシックや牝馬三冠、NHKマイルC(G1)は未勝利。G1未勝利だったセリフォスが、3歳馬ながらマイルCSを制したものの、4歳馬以降はG1で全敗。2歳G1を勝利した馬は早熟傾向が強いのか、3歳以降にG1を勝てないという嫌なジンクスがある。
そしてこのダノンプレミアム、ダノンファンタジー、グレナディアガーズの主戦騎手だったのが、リバティアイランドの主戦騎手でもある川田騎手なのだ。2歳G1を制したこの3頭を勝たせることができなかった、中内田厩舎と川田騎手のコンビ。今年の桜花賞で歴史は繰り返すのか、それとも新時代の到来となるのか。馬券的にその取捨は非常に悩ましいところだ。
こういった傾向からも、2歳G1の阪神JFを勝利したリバティアイランドが桜花賞を制するには、中内田厩舎と川田騎手がこの大きな壁を乗り越えなければならない。もしその壁を越えて桜花賞を勝利することができた時には、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、グランアレグリアと同じ名牝への道を歩んでいくだろう。しかしこの桜花賞で結果が出なければ、ダノンファンタジーのように没落した脇役の道へ進んでしまうかもしれない。
もちろん陣営はこの傾向を百も承知だろう。過去のジンクスを超えるため、中内田厩舎がどんな手腕を発揮するか、そして川田騎手とリバティアイランドがどんなレースを見せるのか、今から週末が楽しみでならない。
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