日本ダービー(G1)を前に横山武史が「34連敗」…エフフォーリアのリベンジに「東京苦手説」も浮上
28日、東京競馬場では日本ダービー(G1)が行われる。2020年に生まれたサラブレッドの頂点を決する戦い。何と言っても注目を集めるのが、クラシック三冠の初戦・皐月賞(G1)を制して二冠奪取に挑むソールオリエンス(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だろう。
昨年11月の新馬戦で単勝1.4倍の支持に応える勝利を挙げると、2戦目の京成杯(G3)も重賞初挑戦ながら軽々と初重賞タイトルをゲット。そして、キャリア3戦目にして迎えた皐月賞も最内枠から後方まで下げての大外一気でライバルたちを蹴散らし、無傷の3連勝でG1ホースまで駆け上がった。
驚愕のパフォーマンスとともに、キャリア3戦目での皐月賞制覇は史上初、最少キャリアでの優勝というオマケ付きだった。もし今回のダービーを勝ってキャリア4戦で無敗の二冠馬となれば、ディープインパクトとコントレイルの「5戦」を抜く最少キャリアの二冠馬誕生となる。
そして偉業達成の大役を担うのが、2戦目の京成杯から継続して手綱を取っている24歳の若武者・横山武史騎手だ。今回が4度目のダービー騎乗となる。
デビュー7年目にしてJRA通算473勝を挙げるなど、次代の競馬界を担う若手として大きな期待をかけられている若武者だが、日本ダービーでの勝利というのはまだない。
中でも忘れられないのが2度目の騎乗となった2021年の日本ダービーである。
今年と同じように、皐月賞を制したエフフォーリアとともに“二冠”を目指して挑んだ一戦。単勝1.7倍の支持に応え、最後の直線では馬場の真ん中から堂々と先頭に立つも、ゴール板目前のところで内からシャフリヤールの強襲に遭う。2頭並んでのゴールは写真判定の末、内のシャフリヤールに軍配があがった。
わずか「ハナ差」で、相棒の二冠と自身の初ダービー制覇は夢と散った。もし勝利していれば、22歳と5カ月でのダービー制覇は戦後最年少記録という快挙だったが、その願いは叶わず「人気に応えることができなくて、申し訳なかったです」と肩を落とした。
ダービーで味わった悔しさは、ダービーで勝って晴らすほかない。今年こそ、ソールオリエンスを二冠馬へと導き、悲願のダービージョッキーへ。2年前のリベンジに期待がかかるところだが、ここに来て気がかりな点もある。大一番を前にして、横山武騎手の近況が振るわないことだ。
直近の成績をみると、最後の勝利は5月6日の東京6Rとなっていて、その次のレースから先週末のオークス(G1)まで現在のところ34連敗中。ここ2週間は白星と縁遠い状況が続いている。
そこで、横山武騎手が2週連続で未勝利に終わったというケースを調べてみると、最近では2021年までさかのぼる。2021年5月30日の週から、2021年6月13日の週にかけて記録した3週連続の未勝利。そう、奇しくもエフフォーリアとともに屈辱を味わった日本ダービーの週が絡んでいるのだ。
騎手人生最大の悔しさから2年。再び巡ってきた大きなチャンスと、そんなタイミングで呼び起こされる忌まわしき記憶。ダービー制覇の一点に集中するためにも、今年は本番を前に連敗を止めておきたいところだ。
しかし、そこでもう一つ気になるデータが浮上する。同騎手の競馬場別成績を見ると、中山は【145-106-98-753/1102】で勝率13.2%を誇る一方、東京では【86-85-86-683/940】で勝率9.1%と数字に開きがある。この成績を芝の重賞に絞ってみても、中山で全16勝のうち10勝を稼いでいるのに対し、東京では4勝止まり。勝率は16.1%と8.2%となり、そのギャップはさらに大きくなる。
ソールオリエンスはもともと東京でデビュー勝ちを飾っており、4角17番手から大外を回して前を行く全馬を抜き去った皐月賞のパフォーマンスを見ても、東京へのコース替わりを不安視する声はほとんど見られない。一方で、鞍上にとってはこれまでのデータを見る限り、今回のコース替わりは歓迎材料とはならないようだ。
大一番を前に高まる期待と、その分だけ大きくなってのしかかる重圧……。2年前の嫌な記憶を振り払うために、今年はまずダービーの前にひとつ勝利を挙げておきたいところ。
日曜日の11Rだけでなく、今週は土曜の平場から横山武史騎手の成績を注視していく必要がありそうだ。
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