【徹底考察】NHKマイルC(G1) メジャーエンブレム「女王の威厳を取り戻すには『サメの扱い方』が重要だ」
【血統診断】
本馬の父ダイワメジャーは数多くのサンデーサイレンス系種牡馬の中でも、特に遺伝力が強い種牡馬。ダイワメジャー自身は有馬記念で3着、皐月賞や秋の天皇賞も勝ったが、マイルG1を3勝したように本質的には超A級のマイラーだ。産駒も父の強い影響を受け、活躍馬は軒並みマイル前後を主戦場にしている。母型のスタミナに関係なく、ある程度距離に限界がある産駒ばかりになる原因は、おそらく前向き過ぎる気性のせいだろう。
そして、もう一つ特徴的なのが、父同様切れる脚が使える産駒が少ないことだ。ダイワメジャー産駒は長くいい脚が使える分、純粋な切れ味勝負になると分が悪い傾向がある。前向き過ぎる気性のせいもあって、カレンブラックヒルやコパノリチャードのような逃げ、先行馬が多い。中には、ダイワマッジョーレのように末脚に懸ける馬もいるが、基本的には「前が止まれば」という条件が付く。本馬も他のダイワメジャー産駒の御多分に漏れず、父の影響を強く受ける一頭。むしろ今のところは「ダイワメジャー産駒の完成形」と言えるほど、父の傾向が強く出ている。
≪結論≫
「考察」で今回、メジャーエンブレムが単騎で逃げた2月のクイーンCのような展開になる可能性は低いと述べたが、だからといってそれで本馬の敗色が濃厚になるわけではない。何故なら、メジャーエンブレムはスタートセンスとスピードに優れているために、結果的にハナに立っているだけであって、決して気性的にハナに立たなければならない馬ではないからだ。従って、シゲルノコギリザメを上手く味方につければ、圧勝する可能性も十分にあるだろう。
しかし、前走桜花賞の最大の敗因は最後の直線で瞬発力勝負を強いられたことはもちろんだが、それ以上に馬群に囲まれて「道中や勝負所で動くに動けなかった」ことだ。結果的に、それでポジションを落としてしまった。
その上で、シゲルノコギリザメをペースメーカーにするのは良いが、直後につけたところにシュウジやティソーナというダッシュ力のある先行馬に外から被せられる展開だけは絶対に避けなければならない。これまでのシゲルノコギリザメは、ある程度後続を引き付けて逃げる馬なので、下手に真後ろへ入ると桜花賞のような「最悪の展開」に陥る可能性は決して低くない。
シゲルノコギリザメを上手く味方にできるか、それとも敵に回してしまうか。メジャーエンブレムが女王の威厳を取り戻すための最も重要な点は、おそらく「サメの扱い方」になるだろう。