ダービー最大の伏兵ダイワキャグニーに宿る「激走」の系譜!? 一発勝負で「15番人気3着」19年前の大波乱の”立役者”が刺客を放つ!
スペシャルウィークが後続を5馬身ぶっちぎり、天才・武豊の初のダービー戴冠に揺れた東京競馬場であったが、その傍ら皐月賞馬セイウンスカイとの熾烈な3着争いをハナ差制したのがダイワスペリアーだった。
当時はまだ3連系の馬券が発売されていなかったため、大穴馬の3着激走が大きな注目を浴びることはなかった。だが、2着のボールドエンペラーも人気薄だっただけに、仮に発売されていれば大万馬券になっていたことだろう。波乱の立役者として、菊沢騎手の名も一気に広まっていたかもしれない。
しかし、実は菊沢騎手にとって、この時のダービーが現役最初で最後の挑戦だった。
あれから19年前。今度は調教師として初めて日本ダービーに挑戦するが、やはり管理馬は「ダイワ」キャグニーであった。オーナーの大城敬三氏との付き合いが、今なおしっかりと続いているのだ。
ここまでのクラシック戦線であまり目立った存在ではないダイワキャグニーだが、2年前のセレクトセールで1億500万円の高値を付けた良血馬。「これだけ高い馬はやったことがない」と話す菊沢調教師が、大城オーナーから「ダービーに出してくれ」と託された逸材だ。
新馬戦とセントポーリア賞(500万下)を連勝して弥生賞(G2)に挑んだが、2番人気に支持されたものの9着惨敗。一度はクラシックの厚い壁に阻まれたものの、前走のプリンシパルSを完勝して再び一線級と戦う舞台にやってきた。
そして、本馬にとって最もチャンスが大きいのが日本ダービーだ。東京競馬場では負け知らずの3戦3勝と得意にしている。菊沢調教師がこの馬が典型的なサウスポーであることを早くから見抜けたのは、同世代にもう一頭アエロリットという”左利き”がいたからだ。