近親ドゥラメンテの「才能」がついに開花! ローシャムパークの重賞初制覇が6年目「新進気鋭厩舎」にとっても大きかったワケ
道中は16頭立てのちょうど中団付近を追走。4コーナーで大外を回って進出すると、最後の直線に入っても力強く脚を伸ばして先頭でゴール。毎年混戦になるハンデ戦で後続に決定的な差をつけており、ここではまさに役者が違うといった勝ちっぷりだった。
昨年9月のセントライト記念(G2)以来の騎乗となったC.ルメール騎手も「だんだん強くなってきています。まだ伸びしろがあります」と、パートナーに今後さらなる成長を予感させるコメントを残している。次走については未定のようだが、順調なら秋のG1戦線で面白い存在になるかもしれない。
そんなローシャムパークを管理するのが、開業6年目の田中博調教師だ。
6年目の「新進気鋭厩舎」にとっても大きかったワケ
アグネスフライトの日本ダービー(G1)をたまたまテレビで見てジョッキーになることを志したという田中博師は、2006年に騎手としてデビュー。2009年にクィーンスプマンテでエリザベス女王杯(G1)を勝利するなど、将来有望な若手騎手の1人だった。
しかし2010年以降は思うように勝ち星を伸ばせず、調教師試験に一発合格したこともあって2017年2月で騎手を引退。11年のキャリアでJRA通算129勝という成績は、デビュー2年目に年間44勝をマークしたことを考えると、当初の期待ほどジョッキーとして活躍できなかったといえるかもしれない。
ただ調教師に転身後は毎年平均20勝以上を挙げており、昨年5月に平成以降で最年少記録となる36歳でのJRA通算100勝を達成。今年2月にはレモンポップでフェブラリーS(G1)を制してG1トレーナーの仲間入りも果たした。すでに騎手時代の通算勝利数を上回る133勝をJRAで挙げているなど、間違いなく今後の競馬界を背負っていく調教師の1人である。
そんな新進気鋭の田中博厩舎にとっても、今回の函館記念制覇は大きかったようだ。
「田中博厩舎は函館記念が開催される前までJRAで132勝を挙げていましたが、その内訳がダート86勝なのに対し、芝では44勝と約半分の数字。重賞勝ちもこれまでダートでしかなかったこともあってか、SNSやネットの掲示板などでは一部のファンから『ダート専門』とも囁かれていたみたいです。
実際に同厩舎は今月2日に行われた芝重賞のラジオNIKKEI賞(G3)にレーベンスティールを出走させましたが、単勝1倍台で3着に敗退。ダートに比べて芝ではもうひと息であることを裏付けるような結果となってしまいました。そんな背景があっただけに今回、芝の重賞で結果を出せたのは厩舎にとっても大きかったのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
今週末、中京競馬場の芝1600mを舞台に開催される中京記念(G3)には、昨年の毎日杯(G3)で2着に入った素質馬ベジャールを送り込む予定の田中博厩舎。勢いそのままに2週連続の重賞制覇もあるかもしれない。