横山武史×ウイン「雪解け」で4万馬券演出! 関係者も凍り付いた「不満タラタラ事件」から2年…名コンビに復活の兆候

競馬界の花形「騎手」たちの意外な事情

 武豊騎手にC.ルメール騎手、川田将雅騎手などなど、競馬界における「ジョッキー」はまさに花形の存在だ。

 大きなレースを勝ち、満員の観客から拍手と祝福を送られるのは、競馬の主役である馬、そしてジョッキーである。それに対して、馬主や調教師らはあくまで裏方的な存在。知名度や人気においても圧倒的な差があることは、競馬ファンなら誰もが知っていることだろう。

 しかし、その一方で競馬界における「ジョッキー」は、決して力のある立場ではない。

 何故なら、騎手は馬に乗ってこそ初めて収入を得る機会が巡ってくるわけだが、誰がどの馬に乗るのかを決めるのは、裏方的な存在である馬主や調教師だからだ。

 トップ中のトップになれば、馬主や調教師が頭を下げて騎乗依頼する場合もあるが、あくまでレアケース。基本的に馬主や調教師の心持一つで“未来”が決定してしまう立場だけに、どの騎手も馬主や調教師に頭が上がらないのは今も昔も同じである。

 例えば、あの武豊騎手でさえ現役引退の危機に瀕したことは、有名なエピソードだ。

 13年前の2010年。競馬は武豊騎手が絶対的中心の時代だったが、3月の毎日杯(G3)で騎乗した際に落馬負傷。左鎖骨遠位端骨折などの重傷ながら8月にスピード復帰したもののパフォーマンスが上がらず、成績も低迷……。その間、多くの馬主が離れていき、本人も「『武豊』でも結果が出ないとこういう状況になる。シビアな世界だと思った」と痛感したという。

 その後、キズナとの日本ダービー(G1)制覇やキタサンブラックの活躍などもあって、再びトップジョッキーの1人に返り咲いた武豊騎手だが、競馬の象徴的な存在である「武豊」でさえ、一つ何かあればたちまち現役引退の危機に瀕してしまうほど、ジョッキーとは脆い立場というわけだ。

 武豊騎手に限らず、どんなジョッキーでも「人間関係」は極めて重要な要素である。ある意味、騎乗技術よりも大事といっても過言ではないだろう。

 そんな中、先月のクイーンS(G3)で興味深い「人間関係」があったという。

 実はクイーンSで三連単4万1860円をわずか12点で的中し、合計33万4880円(1点800円投資)の利益を荒稼ぎした競馬情報サイトを取材した中で判明したことなのだが、この『モーカル』の関係者が「ジョッキーの裏事情」を語ってくれたのでご紹介したい。

 今夏のクイーンSといえば、オークス(G1)3着の3歳馬ドゥーラが強さを見せつけたレースとして、記憶しているファンも多いだろう。

 春のチューリップ賞(G2)と桜花賞(G1)で戸崎圭太騎手への乗り替わりを味わったドゥーラの主戦・斎藤新騎手にとっては、期するものがあったレース。レース後には「ドゥーラが一番強いという気持ちで、凄く自信を持って乗りました」と主戦騎手の強い思いを語っている。

 ただ、これは「ジョッキーの裏事情」とは言えないだろう。『モーカル』が注目していたのは、勝ち馬よりも9番人気で2着に好走し、4万馬券の立役者となったウインピクシスと横山武史騎手のコンビだったという。

今や社台系の御用達となった横山武史騎手だが、以前は「ウイン」の主戦だった

「今日乗ったのはマリリンじゃなかった――」

 一昨年のエリザベス女王杯(G1)。前走のオールカマー(G2)で牡馬を蹴散らし、3番人気に支持されたのが、G1初制覇を狙うウインマリリンだった。しかし、結果は16着。ゴール入線後には横山武騎手が下馬するシーンもあったが、それ以上にファンがざわついたのが感情を露わにした上記のコメントだ。

 もともと父・横山典弘騎手同様、歯に衣を着せぬ物言いが特徴的だった横山武騎手だが「事前にコメントしていましたが、やっぱり状態が少し良くなかった。参考外です」と陣営批判と言わざるを得ないコメント、事前の共同会見の段階から陣営への不満を隠していなかっただけに、よほど不満のある状態だったのだろう。

「実はウインマリリンには、もともと右肘が腫れる持病があり、オールカマーを勝った後にはいつになく大きく腫れてしまい、熱発もあったとか。それを受けて、陣営には11月のエリザベス女王杯を回避して、12月の有馬記念(G1)に出走するプランもあったそうですが、そうなると横山武騎手がエフフォーリア(この年の年度代表馬)を選択することは確実……。

 そんな事情もあっての半ば強行軍でしたが、結果は見せ場を作ることさえできない大敗。人気馬でしたし、事前からコンディション不良がわかっていた横山武騎手からすれば、抑えきれないものがあったのでしょう」(モーカル関係者)

 その後、ウインマリリンと横山武騎手はコンビを解散。先週の札幌記念(G2)でも騎乗したのは松岡正海騎手であり、横山武騎手はシャフリヤールに騎乗していた。

 ただ、“あの一件”はウインマリリンと横山武騎手のコンビ解散だけに留まらなかったという。

「横山武騎手と『ウイン』といえばウインマリリンだけでなく、ウインイクシードやウイングレイテストなど横山武騎手は多くの馬の主戦を務めており、彼が若手騎手の争いから一歩抜け出してトップジョッキーになった原動力の1つと言われています。

 しかし、実はあのウインマリリンの一件以降、両者の関係が急速に冷え込むことに……。表面的には、トップジョッキーとして定着した感のある横山武騎手ですが、今ではほとんど『ウイン』の馬に乗っていません」(同関係者)

『モーカル』の関係者が話す通り2019年に35回、2020年に47回のコンビ結成と、かつて横山武騎手×ウインは蜜月な関係にあった。

 しかし、ウインマリリンの一件があった2021年に28回に落ち込むと、翌2022年はわずか2回とほぼ絶縁状態……。今年はクイーンSの前まで4回のコンビ結成があったが、すべてウインルピナスの3歳未勝利戦だった。

 クイーンSのウインピクシスは、そんな状況の中で巡ってきた機会。重賞レースに限れば“あのエリザベス女王杯”以来、約2年ぶりのコンビ結成である。

「横山武騎手はもちろん、『ウイン』側にとっても期するものがあったと思います。というのも前走から約3か月ぶりのレースでしたが、放牧先(コスモヴューファーム)でかなり乗り込んでいたらしく、厩舎に帰ってきた時点で-14キロまで馬体が減っていたとか。(管理する)上原博之調教師も驚いていたそうです。

 ただ入念に乗り込まれていた分、追い切りでは当然動けますし(追い切りで)騎乗した黛弘人騎手は反応が良すぎるので逆にセーブしていたとか。『体は減っていますが、中身は良いと思います』と、すでに仕上がっている点を強調していました」(同関係者)

競馬の裏事情に精通する『モーカル』だが、地方競馬も充実した情報がそろっている

 その一方で、これだけの好材料が揃っていながらクイーンSを迎えたウインピクシスは14頭中9番人気と、完全に伏兵扱いだった。

 それもそのはず「追い切りの時計も地味」な上に、当日は「-10キロと大きく馬体を減らしている」状況……。多くのファンが札幌への輸送の影響を意識したのではないだろうか。少なくとも13着に敗れた福島牝馬S(G3)から、大きな前進があるとは思えなかったはずだ。

 しかし、その“裏事情”は『モーカル』の関係者が語った通りである。

「これらに加えて、横山武騎手は舞台となる札幌・芝1800mで無類の強さを誇っている点も見逃せないデータでした。クイーンSまでの過去3年で17勝は、2位の吉田隼人騎手の8勝、3位のルメール騎手の7勝を圧倒する成績です。

 また、今年はここまで(13日時点)12回騎乗して6勝、2着2回、3着2回で勝率50%、3着以内率83.3%と驚異的な結果を残しています。ハッキリ言って、横山武騎手の札幌・芝1800mは『無条件で買い』と言っていいでしょう」(同関係者)

『モーカル』のような馬券のプロ集団が「競馬で勝てる」のは、今回のウインピクシスのように「決して表には出ない裏事情」に加えて、あらゆる面をカバーする「豊富なデータ」を巧みに組み合わせて予想するからだろう。

『モーカル』の関係者が上記で語ってくれたデータは、我々のような全国の競馬ファンでも少し調べれば簡単に入手できるものだ。これだけ抜群の数字が表れているにも関わらず、ウインピクシスは9番人気という伏兵扱い……。

自分も含め、競馬ファンは何をしていたのだろうかと思わざるを得ない。

「データで予想を組み立てるのはプロでも行っていますし、有効な予想方法だと思います。しかし、今回挙げたのは一般的なデータですが、プロはさらに細かいところまで多岐にわたる膨大なデータを所有しています。

 正確な『答え』を導き出すためには、様々な側面から検証する必要があります。競馬予想におけるプロと素人の差があるとすれば、最も顕著なのは、やはり扱うデータ量だと思いますね」(同関係者)

 今回、横山武騎手とウインの裏事情の一端を披露してくれた『モーカル』だが、競馬ファンの間では「地方競馬に特化した競馬情報サイト」としても有名だ。今回のクイーンSの4万馬券的中など、中央競馬でさえこれだけ精通した情報を持っているだけに「これが本領発揮の地方競馬なら……」と思わずにはいられないだろう。

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