迷える2歳王者に頼もしい助っ人が登場! 武豊、横山典弘も悩ませたメイケイエールを復活V…自己ベストマークの追い切りに復調気配

 失地回復に向け、結果を求められる一戦となりそうだ。

 昨年8月のデビュー戦で鮮やかな逃げ切り勝ちを決めたドルチェモア(牡3、栗東・須貝尚介厩舎)。2戦目のサウジアラビアロイヤルC(G3)を1分33秒4の好時計で制した勢いに乗り、3戦無敗で朝日杯フューチュリティS(G1)を優勝した際には、クラシックを狙える逸材と評された。

 しかし、断然人気に支持された年明けのニュージーランドT(G2)を7着に敗れて以降は、まるで別馬のように精彩を欠くレースが続いている。

 三浦皇成騎手によるJRA・G1初勝利の成否に注目が集まったNHKマイルC(G1)も、好位からズルズルと後退して12着に惨敗。続く安田記念(G1)でも古馬相手にこれといった見せ場も作れずに最下位に敗れる屈辱を味わった。

 NZTで騎乗していた横山和生騎手がレース後、「ちょっと負け過ぎな気はしますが……」と懸念を見せていたが、突然走る気持ちがなくなったかのように見せる連敗の原因はまだ分からない。

 ここまでの成績だけに限れば、超早熟馬だった可能性も考えられなくはないが、2歳王者復活のために、陣営も試行錯誤を繰り返しているはずだ。

 その一環が芝1200m戦のセントウルS(G2)に出走することと、新たな鞍上に池添謙一騎手を指名したことだろう。

 これまでマイル戦を中心に使われていたドルチェモアだが、折り合いを気にすることなく伸び伸びと走ることによって、いい意味での刺激となればという意図も少なからずありそうだ。

 そして何よりも期待したくなるのは、代打職人の異名を持つ池添騎手が手綱を取ることだ。

 オルフェーヴルやスイープトウショウといった気難しいパートナーを乗りこなした名手は、2019年のマイルCS(G1)も福永祐一元騎手の代打として騎乗したインディチャンプで見事に優勝した実績の持ち主であるだけでなく、近年で最も有名なのはメイケイエールとのコンビで間違いない。

 前進気勢の強過ぎるメイケイエールは、折り合いに定評のある武豊騎手や横山典弘騎手ですら、道中で制御が効かなくなるほど手を焼いた。そんなじゃじゃ馬に救世主的な存在となったのが池添騎手だ。

 初コンビとなった2021年のスプリンターズS(G1)は、7番人気の評価ながら見せ場十分の4着に健闘。翌年のシルクロードS(G3)でコンビ初勝利を挙げると、その後も京王杯スプリングC(G2)、そして昨年のセントウルSを勝利した。

 また、そんな陣営の期待が伝わったのか、ドルチェモアも6日の最終追い切りで栗東の坂路を4F50秒9-12秒1という自己ベストをマーク。これなら追い切りに跨った池添騎手も好感触を掴んだのではないか。

 相手は決して楽ではないが、復調気配の感じられる追い切りと仕事人・池添騎手の追い風があれば、2歳王者の復活も夢ではないはずだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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