
ローズS(G2)武豊でも、川田将雅でもなく…「次代の王」岩田望来の大覚醒! 阪神タイガース18年ぶりVで「黄色と黒の縦じま」優勝も、打倒リバティアイランドへ想定外の刺客!

17日、阪神競馬場で行われた秋華賞トライアル・ローズS(G2)は、7番人気の伏兵マスクトディーヴァ(牝3歳、栗東・辻野泰之厩舎)が勝利。2021年のシャフリヤールの記録を0.9秒も更新するスーパーレコードで秋華賞(G1)へ大きく名乗りを上げた。
プロ野球・阪神タイガースによる18年ぶりの優勝の余韻が残る中で行われたローズS。サイン派でなくとも、今年は「黄色と黒の縦じま」がお馴染みの社台レースホースの所属馬3頭に注目した競馬ファンは少なくなかったはずだ。
特に武豊騎手は過去2回、阪神が優勝した年のローズSを連覇中(03年アドマイヤグルーヴ、05年エアメサイア)。今年も3番人気の有力馬ソーダズリングに騎乗しており、サイン派の競馬ファンは「これだ!」と思ったに違いない。
しかし、勝ったのは社台馬でも武豊騎手ではなく、5番人気マラキナイアに騎乗していた川田将雅騎手でもなく、7番人気のマスクトディーヴァと岩田望来騎手だった。
17頭立てで行われた阪神・芝1800mのレース。スタートで1番人気のブレイディヴェーグが出遅れる中、マスクトディーヴァは中団の外に。1000m通過57.3秒は、現在の高速馬場を鑑みてもハイペースと言って良いだろう。
前の馬にとって厳しい流れの中、後方の馬の末脚勝負になると思われたが、そんな中で早めに動き、強気の競馬を見せたのがマスクトディーヴァだった。最後の直線で力強く抜け出した際は、鞍上の岩田望騎手も「少し早いんじゃないか」と思ったそうだが、結果的にブレイディヴェーグの猛追を1馬身半振り切ってゴール。
勝ち時計1:43.0は、日本レコード。春のクラシックの舞台に届かなかった遅咲きが、勢力図を大きく塗り替える1勝を挙げた。
「非常に強い勝ち方でしたが、最大の勝因は岩田望騎手の思い切った騎乗だと思いますね。レース後に『勝った時のイメージで、リズム良く、中団につけた』と話していましたが、前走も同じ阪神・芝1800mを使って、いい勝ち方をしていたこともジョッキーの自信になっていたと思います。
ド派手な勝ち時計になりましたが、今の阪神は超が付く高速馬場。元JRA騎手の安藤勝己さんも『馬場とペースもあるから時計は鵜呑みにせん』(Xより)とポストしていましたが、6着のフォーチュンコードまでレコード更新という時計なので、額面通りには受け取らない方が良さそうです。
ただ、岩田望騎手が『最後も遊ぶ場面もありましたし、まだ余裕がありました』と振り返っている通り、勝ちっぷりは実に鮮やか。これは秋華賞が楽しみになりました」(競馬記者)
「次代の王」岩田望来騎手の大覚醒!

夏の王者の勢いが止まらない。先月26、27日に行われたワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)で逆転優勝を決め、新時代の到来を予感させた岩田望騎手。勢いそのままに今月はさっそく3日の小倉2歳S(G3)を5番人気のアスクワンタイムで勝利すると、この日はローズS制覇。
デビュー当初から若手最有力の1人と言われながらも、かつては大レースの勝負弱さが課題だった岩田望騎手。だが気がつけば、これで今年の重賞4勝目。特にこの9月は重賞2勝を含む7勝、3着以内率は45.5%(ローズS勝利時)とWASJ優勝で一皮むけた印象さえある。
「これで一線級の馬とやり合えますし、どういう競馬をしてくれるのか。まだまだ良くなる余地を残していますし、楽しみです」
本番の秋華賞には、春の牝馬クラシック二冠で圧倒的な強さを見せつけたリバティアイランドが待っている。戦前まで「この秋、最も堅いG1」と称されていた牝馬三冠の最終章だが、大逆転の匂いが少しずつ漂ってきた。
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