日本ダービー「初騎乗」の陰で騎手免許「取消」申請…同期の間で分かれた明暗、ジョッキー界の過酷な生存競争
26日に行われる日本ダービー(G1)。ビザンチンドリーム(牡3歳、栗東・坂口智康厩舎)とのコンビでダービー初騎乗を果たすのが、デビュー7年目の西村淳也騎手だ。
同騎手は競馬学校34期生として2018年にデビュー。2年目以降は毎年50勝以上をマークしており、昨年は全国リーディング8位に入る大躍進。今年も同10位をキープするなど、自らの手でチャンスを掴み取ったといえるだろう。
同期の服部寿希騎手は引退…
一方で、その西村淳騎手と同期である服部寿希騎手から騎手免許の取消申請があり、今月19日付で取り消したことを先日、JRAが発表した。
競馬ファンだった父の影響でジョッキーを志したという服部騎手。競馬学校の入試に1度不合格となり、馬の専門学校に通っていた苦労人である。2度目のチャレンジで合格すると、入学式では新入生代表として宣誓を行った。競馬学校時代の模擬レースでは現役の松山弘平騎手、菱田裕二騎手らを抑えて1着となるなど将来有望な候補生だった。
しかし騎手としてデビューした後はなかなか初勝利を挙げることができず、144戦目にして待望の初白星を掴んだものの、その後も勝ち星は伸び悩んだ。JRAでは通算681戦6勝という成績。今年の騎乗数はわずか1回しかなかった。
「競馬学校34期卒業生は3人しかおらず、もう1人の山田敬士騎手も昨秋、怪我のため引退しています。少人数だったこともあってでしょうか西村淳騎手は同期愛が人一倍強く、過去には服部騎手の誕生日をお祝いするシーンなども見られていたのですが……」(競馬誌ライター)
ジョッキーの過酷な生存競争
成功すればメディアから脚光を浴びるとともに、大金を掴むことができるジョッキーという職業だが、当然、誰もがそうなれるわけではない。とくに近年は毎年のように海外から一流ジョッキーがスポット参戦していることもあり、若手騎手は成長の機会が減っているといわれている。
ただコロナ禍の影響で2020年から外国人ジョッキーの来日が一時的に減り、若手騎手にも勝ち星を増やすチャンスが与えられた。この好機をものにしたのが横山武史騎手や坂井瑠星騎手、岩田望来騎手たちであり、また西村淳騎手も2020年は50勝を挙げ、翌21年3月の金鯱賞(G2)で初重賞制覇を果たすなど、関係者へのアピールを成功させたといえそうだ。
それに対し、服部騎手は20年の年間勝利数が「0」。21年もわずか1勝に終わるなど、チャンスを掴み切れなかったといえる。結果的に西村淳騎手が競馬の祭典・日本ダービーに初騎乗を果たす1週間前に騎手免許を取り消すこととなり、同期の間で明暗がくっきり分かれる形となった。
服部騎手の引退により、デビュー7年目にして早くも唯一の34期生となった西村淳騎手だが、ダービーではステッキを置いた同期2人に届くような最高の騎乗を見せてほしい。
PICK UP
Ranking
23:30更新- 【阪神JF】リバティアイランド、アスコリピチェーノ、ソダシを超える逸材!? 2歳女王決定戦で買うべき“大物馬主”推奨の2頭
- 【香港C(G1)展望】絶対王者ロマンチックウォリアーVS逆襲の女王リバティアイランド! ダービー馬タスティエーラ完全復活なるか
- 【阪神JF(G1)展望】L.デットーリ×米国2歳女王メイデイレディが日本襲来! フォーエバーヤング妹など日本の女王候補が迎撃
- 武豊「来年が楽しみ」ヤマニンウルス不在でも大健闘…フォーエバーヤング擁する世代レベルの高さも証明
- ミホノブルボンvsライスシャワー連想させた「100分の1」の攻防!同一馬によるワンツースリーは平地競走史上初
- 【香港マイル(G1)展望】3歳マイル王ジャンタルマンタルが待望の戦線復帰! 悲願達成のソウルラッシュと世界制覇に挑む
- 武豊「非常識な最高速」でチェルヴィニア置き去り…他馬を凌駕する切れにC.ルメール「ドウデュースと同じ走りは出来ない」
- JRA福永祐一ケイティブレイブ「西日で負けた」はサービス精神!?「面白いんじゃないかと……」ネットを炎上させた”言い訳”の真意
- ジャパンCでも天皇賞・秋でも下馬評覆す4歳馬の好走…「最弱世代」の汚名返上着々、出遅れて逃げてもダービー馬に先着の逸材が待望の復帰
- ハーツクライ産駒でも走りはディープインパクト?有馬記念に潜むファンの夢と希望とロマンと甘い罠
関連記事
【日本ダービー】「引っ越し代100万」を稼いでこそギャンブラー…キャプテン渡辺が考える人気馬を切ることよりも大事なこと【徒然なる神のくず競馬トーク】
「ダービーはこのコンビを買え!」ジャスティンミラノ×戸崎圭太、シンエンペラー×坂井瑠星、シュガークン×武豊…。全馬&全騎手のダービー適性を徹底チェック!絞り込まれた【3頭】意外な穴馬に衝撃!
「ユタカァ、あけろー!」藤田伸二氏が明かした“恐喝”日本ダービー制覇の裏話…“怒り心頭”武豊から掛けられた恐怖の言葉とは
かつては「単勝5万5430円」も…日本ダービー(G1)高額配当の歴史! 12番人気ロジャーバローズの衝撃から5年、その結末やいかに
武豊「幸四郎みたいな感じ」シュガークンにブラックジョーク!? レジェンドの“全弟”が騎手として「兄を圧倒」した意外性