【函館スプリントS(G3)展望】北海道シリーズ開幕週にアサカラキングVSサトノレーヴ!短距離界の「主役候補」2頭が再対決
サマースプリントシリーズ初戦・函館スプリントS(G3)
2024年の北海道シリーズがいよいよ始まる。9日、開幕週の函館で開催されるのはサマースプリントシリーズ初戦でもある函館スプリントS(G3)だ。ここをステップにG1も狙える逸材2頭も出走を予定しており、見逃し厳禁の一戦となりそうだ。
今年の高松宮記念(G1)に出ていれば……。そう思わせる素質の持ち主がアサカラキング(牡4歳、美浦・斎藤誠厩舎)である。
もともと1800mでデビューし、2000mで勝利。3歳春には青葉賞(G2)にも出走したように中距離で期待されていた。ところが結果を出せず、昨年暮れにマイル路線へ転向すると、1400~1600mの自己条件戦で3連勝を飾った。
今年2月の阪急杯(G3)で4連勝を狙ったが、ハナ差の2着に惜敗。この数センチの差が響き、高松宮記念は賞金不足で無念の除外となり、仕切り直しを強いられた。
その後は福島のモルガナイトS(OP)に出走。スピードの違いでハナを切ると、前半3ハロン33秒0のラップを刻み、後続に影をも踏ませぬ圧勝劇。一部のファンからは“幻の高松宮記念馬”という声も上がったほど。秋の大一番に向けてここも通過点とできるだろうか。
大物感を漂わせるサトノレーヴ
年齢はアサカラキングの1つ上だが、サトノレーヴ(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)も大物感を漂わせている1頭だ。
これまで間隔を空けながら使われて、7戦のキャリアで5勝2着1回の好成績を残している。22年夏の函館から自己条件を3連勝しオープン入り。10か月ぶりの実戦となった阪急杯で重賞初挑戦を果たした。
しかし結果は4着。2着アサカラキングには0秒4差をつけられたが、この時は除外濃厚だったオーシャンS(G3)への出走予定を1週前倒し。そのため阪急杯ではやや太目残りだったことも事実。それを考えれば、重賞通用のメドは立ったといえる内容だった。
その後はJ.モレイラ騎手を背に確勝を期して春雷S(L)へ。2着馬とはアタマ差だったが、単勝オッズ1.9倍の1番人気に応えてオープン特別初勝利を挙げた。前残りの展開と馬場の中、中団から豪快に差し切った能力は間違いなくホンモノ。
モレイラ騎手も「いいスタートを切り、一番重い斤量を背負っても最後までファイトして、強い勝ち方をしてくれました。これからも楽しみです」とその走りを絶賛していた。函館は2戦2連対と結果を残している舞台だけに秋に向けて試金石の一戦となる。
初のスプリント戦に臨むウイングレイテスト
重賞未勝利のアサカラキングとサトノレーヴに対して、ウイングレイテスト(牡7歳、美浦・畠山吉宏厩舎)はG2を制している格上。重賞初勝利を飾った舞台は昨秋のスワンS(G2)だった。
それまで1600~1800mで結果を残していたウイングレイテストにとって久々の7ハロン戦。10番人気に甘んじたが、松岡正海騎手の好騎乗とブリンカー効果も手伝って2番手から抜け出して快勝を収めた。
その後は阪神C(G2)8着、サウジアラビアの1351ターフスプリント(G2)4着と馬券圏外が続いている。今回はさらに距離を短縮して初の1200m戦となるが、これまで距離短縮時に連対率55.5%の好成績を残している。
あとは同じく初となる洋芝をこなせれば、重賞2勝目の可能性は十分あるだろう。
キミワクイーン(牝5歳、美浦・奥村武厩舎)は、昨年の当レースで重賞初制覇を飾った実力馬だが、その後は掲示板に載るのがやっとという状況が続いている。
前走のダービー卿チャレンジT(G3)は最下位に沈んだが、1200mなら巻き返してもおかしくないだろう。3戦ぶりに手綱を取る横山武史騎手との再コンビで連覇を狙う。
勢いという点ではサウザンサニー(牡4歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)も侮れない。自己条件を目下3連勝中で、これが重賞2戦目だが、決め手比べの展開になればここでも上位争いに加わってくるだろう。
この他には、3月のオーシャンSでトウシンマカオの2着に好走したビッグシーザー(牡4歳、栗東・西園正都厩舎)、前走の鞍馬S(OP)を勝利してスプリント適性を示したジャスティンスカイ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)、昨年の青函S(OP)を快勝したゾンニッヒ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)なども出走を予定している。
このレースを皮切りに9月のセントウルS(G2)まで、6つのレースで構成されるサマースプリントシリーズ。幸先よくスタートダッシュを決めるのは果たしてどの馬か。函館SSは9日15時25分に発走を予定している。