C.ルメール「状態はバッチリと聞いていた」勝負仕上げ!大敗続きからレーベンスティール大変身…エプソムC(G3)前のG1ジョッキーは「事実上の追い切り」だった?

レーベンスティールでエプソムCを制したルメール騎手 撮影:Ruriko.I

「一緒にしてくれては困る」まるでそう言わんばかりの圧勝劇だった。

 9日、東京競馬場で行われたエプソムC(G3)は、1番人気に支持されたレーベンスティール(牡4、美浦・田中博康厩舎)が優勝。メンバー唯一の59キロを背負いながらも上がり3ハロン最速タイ33秒7の末脚を繰り出し、2着ニシノスーベニアに2馬身差をつけて突き抜けた。

59キロを背負っても一強を証明したレーベンスティール

「59キロでも良いパフォーマンスでした。スタートが良く、良い位置につけられましたし、3~4コーナーの手応えはとても良かったです。直線では段々と加速して、楽に勝つことができました」

 初コンビを組んだC.ルメール騎手もそう振り返ったように、2つ目の重賞勝ちはまさに“楽勝”といえる好内容。秋の飛躍を十分に予感できる走りといえるだろう。

 ただ、レースでは「一強」を証明したレーベンスティールではあるものの、3.6倍という単勝オッズが示す通り、必ずしも絶対的な存在ではなかったことも事実だ。

 なにしろ、昨秋から4歳世代の牡馬を代表するクラシックホースたちが、年長馬との直接対決で返り討ちに遭うレースが多発。前日土曜のメイン・ジューンS(3勝クラス・芝2400m)でも、昨年の日本ダービー(G1)でタイム差なしの3着に入ったハーツコンチェルトが6歳牝馬のエリカヴァレリアに敗れたばかり。ネットやSNSなどで一部のファンから早くも“史上最弱”と揶揄する声が囁かれ始めた世代の1頭だけに、戦前から不安視する声もあった。

 その一方で、まさかの二ケタ着順に敗れた前走から別馬のような一変を見せた背景に、田中博調教師の“攻めた調整”の効果がてきめんだった。

 レーベンスティールは昨年12月の香港ヴァーズ(G1)に出走するも、8頭立ての最下位(1頭除外)。大敗した前走の新潟大賞典(G3)も、13キロ増えていた香港の馬体重から3キロ増と余裕残し。「調整を手控えたこともあり、いつもより元気がなかった」というコメントも出ていた通り、初の海外遠征による心身のダメージを考慮したソフト仕上げだったという。

陣営の試行錯誤がもたらした大変身

 そこで陣営は、新潟大賞典の教訓を生かして調教を強化。中間に短期放牧を挟みつつもエプソムCでは4キロ減のシェイプアップした馬体。今回は手控えることなく攻めの姿勢を貫いたことが、別馬のように一変した圧勝劇に繋がったはずだ。

「ルメール騎手も田中調教師から『状態はバッチリ』だと聞かされていたので自信を持って乗れたと話していましたね。レースの騎乗も好スタートを決めて中団前目のポジションから最後の直線でゴーサインが出されるとグングン加速。近2走で大敗の続いた馬とは思えないような走りでした。

もちろん、圧勝の裏にはルメール騎手の好騎乗も含まれているのですが、少々気の毒だったのは前走の新潟大賞典でレーベンスティールに騎乗した津村明秀騎手です。コンビ継続なら勝っていた可能性もあっただけにツキがありませんでしたね。ちなみにエプソムCではトゥデイイズザデイに騎乗して10着に敗れています」(競馬記者)

新潟大賞典でレーベンスティールに騎乗した津村騎手 撮影:Ruriko.I

 ただ、新潟大賞典は折しも落馬負傷から復帰したルメール騎手が、アスコリピチェーノに騎乗したNHKマイルC(G1)の裏開催。レーベンスティールは、ルメール騎手を優先的に起用するノーザンファーム系のオーナー・キャロットファーム所有馬のため、体の空いているエプソムCでの乗り替わりは既定路線だったかもしれない。

 結果的に“事実上の追い切り”を手伝う格好となった津村騎手だが、14番人気の超大穴テンハッピーローズとヴィクトリアマイル(G1)で待望の初G1勝利を手にしたように、その手腕を再評価されている。まだまだこれからも重賞を勝つチャンスはあるはずだ。

GJ 編集部

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