未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ

 今年デビューした期待のルーキーたち。早々に頭角を現した高杉吏麒騎手は夏の函館開催でリーディング争いに加わる腕達者ぶりを見せ、長浜鴻緒騎手や吉村誠之助騎手らも順調に勝利を積み重ねている。出遅れていた大江原比呂騎手も先月に初勝利を挙げたことで話題となった。

 そんな粒揃いの同期が揃う中、まだ勝利を挙げられずにもがいているのが橋木太希騎手(18歳、栗東・西園正都厩舎所属)だ。

 上位人気馬の騎乗機会が多いとは言えないものの、3月のデビューから6月までに騎乗した54鞍で未勝利。長いトンネルから抜け出せないでいる。

乗鞍激減に繋がった深刻な理由とは

 師匠はG1トレーナーの西園正調教師。出走回数も多く、コンスタントに30勝以上している名門と比較的恵まれた環境。西園正調教師も勝ち負けになる馬を用意してくれていたようだが、橋木騎手の経験不足もあってか勝ち切れないレースもあったように映る。

 こういったことは新人の誰もが通る道であり、失敗した経験を次に生かして信頼を勝ち取っていけばよかったのだが、結果を出せない日々が続くとともに馬質も低下。最近では乗り鞍の確保にすら苦戦する週も増えてきた。まだデビューしたばかりの新人ということを考えれば、情状酌量の余地があってもいいように思えるものの、橋木騎手の場合は少々意味合いが異なるという。

「実は深刻な理由があって、どうも彼は極度の寝坊癖の持ち主らしいのです。夜遊びなどの素行不良が原因なら叱られても仕方ありませんが、しっかりと睡眠時間を取っても起きられないようです。そのため朝の調教に何度も遅刻するなど、厩舎関係者に多大な迷惑をかけてしまいました。

もちろん目覚まし時計や携帯のアラームなどで対策をしているそうですが、なかなか改善が見られず……。師匠の西園正先生としても、調教すらまともにこなせないような弟子に管理馬を任せることはできないと、しばらくお灸を据えました。もう手に負えないと判断したエージェントの橋本貞男氏が、橋木騎手との契約を解除したほどです」(競馬記者)

 そんな経緯もあってか、本来なら経験を積まなければならない時期に調教やレースに乗る機会が減ってしまい、技術的にも同期に後れを取っている状況。そして橋木騎手の技術不足を露呈する格好となったのが、先週末に行われた土曜小倉の4Rである。

落馬したカラ馬が209万馬券の大波乱に関係?

 このレースで11番人気へルトに騎乗した橋木騎手だが、コーナーで膨れる馬を御せずに落馬。しかも、騎手がいなくなりカラ馬となったヘルトが、最後の直線で外側に大きく逃避し、複数の馬が被害を被った。結果的に3連単の払戻しが209万馬券になったレースだが、この大波乱と橋木騎手の落馬は無関係といえないだろう。

「橋木騎手はヘルトの関係者や迷惑をかけた他のジョッキーに謝罪していましたが、数名の騎手からは未熟さを叱責されていました。少し癖のある馬とはいえ、これまで乗った騎手ではそれなりに走っていただけに、橋木騎手が御せなかったのは明らか。関係者の印象をさらに悪くしたのは否めないです」(別の記者)

 自分で蒔いてしまった種とはいえ、その理由が“治らない寝坊癖”では、周りがサポートするにも難しい。ついには師匠の西園正師も堪忍袋の緒が切れて、フリーにならざるを得ないのではないかという噂も出ているらしい。

 現場を知る記者も「今後の見通しも暗いです」と心配していた橋木騎手だが、現在の苦境から抜け出すことが出来るだろうか。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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